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営業秘密に関するコラム

                    「不正競争防止法と特許法そして高橋是清翁」連載②
                                                令和6年度 不正競争防止法委員会
                                                       委員 栗岩 信夫

深夜アニメにはまってしまったいつも眠たいダメ弁理士の岩さんと、甥っ子で高橋是清翁が関係する中学に通うラノベ好きのくろちゃんとの掛け合いです。
岩さん:くろちゃん久ぶり、それで何か気付いた?
くろちゃん:こんにちは、気付いたところは、特許の方の条文数が5倍以上多い、法律の成立年が早いくらいかな
岩さん:法律の成立年はそうだけど、実際は特許よりノウハウ保護の方が歴史は古いんだよね。特許が成分特許法として歴史に登場するのはヴェネツィアの発明者条例だけど、ノウハウは、12世紀からの中世の手工業ギルドとか、もう少し緩やかな日本の職人の株仲間の中で守られていたと考えれば、わかるよね。
くろちゃん:西暦751年からのタラス河畔の戦いで、職人が捕虜になって製紙法が西方に伝播するとか、豊国大明神が百済の末から陶工を沢山連れて来たとか
岩さん:クレバーくろちゃん 賢すぎcrisis、昔日のノウハウは一身専属・一子相伝なところもあって、今はAI技術とか属人的なノウハウが全部もってかれかねないので、ノウハウ・データの管理は昔より重要になってきていると思う。
くろちゃん:特許法の条文数が多い理由は?
岩さん:特許は登録されて権利として国が守るので、手続法として条文が多くなるのと、法目的を達成するため発明の利用を図るために原則内容が公開されるなど、次に示す要件の差もあるかと。便利師、もとい弁理士が登録手続きの代理人として明細書作成職人になりやすいのもこのあたりに起因するかな
くろちゃん:条文が多くていいことはあるの?
岩さん:まあ、細かく規定して結果条文が多くなるメリットは国際契約と同じで曖昧さをなくせる、デメリットは複雑になり専門家でないと扱えなくなる、結果おじさんの飯のタネになるとか、あ、後段のおじさんの個人的メリットは失言、、忘れてチョーだい
確かに、春秋戦国時代を終わらせた国の法家みたいに法律が多すぎるのはどうかとは思う。その後の漢の法三章はわかりやすいよね。モーセの十戒も。不正競争防止法もコンパクトなのは悪くない
くろちゃん:法三章って?
岩さん:殺人、傷害、窃盗を罰するとだけ定めた三箇条で漢の始祖が定めたもの。
啓典の民が信奉する重要な啓典であるモーセの十戒にもほぼ同じ規定があるよね。
律法の基本だと思います。シンプル過ぎてこうなると専門家はいらないよね。
くろちゃん:こんな簡単で基本的なことは、みんな最低限守ってほしいよね
岩さん:相当脱線したからもとに戻すね。
つづけて、ノウハウと特許の主要な要件対比表を見せるね、ほぼざっくりと類似している要件を左右に並べている。また次回、くろちゃんが気付いたことを教えてくれる。

ノウハウ(本稿で技術上の営業秘密を意味) 特許
要件 秘密管理性
有用性 産業上の利用性
進歩性
非公知性 新規性
ほか記載要件、先願、法上の発明、公序良俗等の4要件

くろちゃん:OK、わかった。
岩さん:よろ
                                                             以上