就任のご挨拶
1.はじめに |
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3.魅力的な知的財産制度を構築する。
知的財産制度をユーザーにとってより魅力的なものにするべく,日本弁理士会は積極的に政策提言をしていかなければなりません。そのため,日本弁理士会の委員会活動を政策提言できるかたちにする必要があります。
例えば,特許,意匠,商標の専門委員会を改組して第1委員会と第2委員会にわけます。第1委員会と第2 委員会は互いに協力して運営するものですが,第1 委員会には,知財経験が10 年以上ある会員にお願いして,政策提言と対外的な折衝を担当して頂きます。一方,第2委員会には,審査基準や判例などの研究と啓蒙活動を担当して頂きます。
その他の専門委員会(著作権,不正競争防止法,バイオ・ライフサイエンス,ソフトウェア,農林水産
知財対応など)にも政策的な提言を行っていただきます。
日本経済団体連合会及び日本商工会議所、更には日本知的財産協会や、他の業界団体との連携を強化する他、知財制度の総合的発展のため、関係の他士業との連携を更に強化します。
日本の技術開発力と特許出願の件数の関連性を検討し,必要な出願が行われるような施策をとります。中小企業に対しては,日本弁理士会として,発明創出を手伝い,出願のための補助を行ないます。
また,商標と意匠の権利保護の有効性と,ブランド戦略の重要性を再確認するためのキャンペーンを行い,弁理士に何ができるのか,なぜ弁理士に依頼すべきなのかを世に訴えます。
4.国民のための弁理士制度にする。
弁理士試験や,合格者の数,業務法人制度などいろいろな側面を含む弁理士法の改正ですが,平成24年に本格化する平成19 年の改正後の見直しに備えて,本年度の早い時期から検討を集中的に行って頂きます。担当は,弁理士法改正委員会となりますが,答申を早急に得て,ロビー活動を本年度中に開始した
いと考えております。定性的な弁理士制度のあるべき姿を明確にするとともに,適正な合格者数など定量的な弁理士制度のあり方を検証します。また,上述の答申の結果などの検討事項を踏まえて,平成24年度当初には,日本弁理士会の総会において決議を採択するべきだろうと考えております。
5.委員会と附属機関は,街に出る。
(1) ビジネスへの挑戦
日本弁理士会の附属機関と委員会はこれまで多大の研究成果を達成してきましたが,本年度はそれを踏まえて,現実のビジネスにおいて弁理士がどのような参入と収益のチャンスを得られるのかを考えるべきです。つまり,判例や実務上の課題を整理して検討することやマニュアルの作成も重要ですが,それらの努力を踏まえて,どういったビジネスに弁理士が現実に取り組んでいくべきかを各委員会にも考えて頂くようにします。
(2) 外部団体との連携の強化
知財協,経団連,日弁連,製薬協,バイオインダストリー協会,JEITA,SOFTIC,JASRAC,JETRO,JICA,WIPO,知的財産戦略本部,文化庁,農水省,財務省と緊密な関係を結んで,弁理士の存在感を高めるとともに,より多くの弁理士が常勤または非常勤の職員やアドバイザとして政府機関に参加するための道筋をつけます。
6.特許事務所の基盤整備を支援する。
業務の標準化をさらに進めて,事務所内における事務処理の効率を向上させる方策を検討し,モデルケースを作成します。
そして,商標と意匠の業務強化をはかります。平成22 年度に行った「意匠の底力」キャンペーンの成果などを梃子にして,出願件数の増大策を探ります。周辺業務と著作権については,知財経営コンサルティング委員会や著作権委員会と,研修所との連携を図って,一定のコース修了者に公的支援による場(相談受付,業務開拓)を提供します。
中小企業・ベンチャー支援については,特許庁の施策動向を詳細に見て,日本弁理士会として何ができるのかを総合政策企画運営委員会にお願いして検討します。
弁理士会会員のための研修活動を強化します。実務的な新人養成研修や特許英語の研修を強化します。
7.会務運営を革新し,会員サービスの向上を図る。
まず,会員が親しみやすくなるよう日本弁理士会の事務局に受付を作ります。会務への参加促進のために,ポイント制を利用したマイレージサービス的なことを考えます。そして,日本弁理士会の経費を見直すために,1 年間の期間を区切って会費を25%下げることを提案します。そして,長期的にも会費を下げる方向に持って行くようにします。
また,政府のプロジェクトを調べて,平成22 年度にできた「サポートセンター」担当の事務局員を中心に,そのようなプロジェクトへの会員の参加の方策を探ります。
さらに,日本弁理士会の活動の活性化と若手の参加を促すため,役員と委員会の再任を制限することを規則に盛り込みます。
8.まとめ
このように日本弁理士会が向き合っていかなければいけない事柄は大変多岐に及びます。さらに,社会の弁理士に対する期待は大きく,それにも日本弁理士会は応えていかなければなりません。知的財産制度を支える専門家集団として,日本弁理士会が十分な力を発揮できるよう,皆様と一緒にがんばりますので,何卒,ご指導,ご支援,ご協力をお願いいたします。