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記者懇談会・議事録(2004年1月)

知的財産関連の悪質商法について

日時 12月8日(月)午後1時から2時まで
スピーカー 日本弁理士会業務対策委員会
委員長  井澤 洵
副委員長  長谷川芳樹
副委員長  内藤嘉昭
副委員長  村上政弘
参加記者数(記者) 11名
 

内容:

(1)井澤洵業務対策委員長による説明

知的財産関連の悪質商標について、配付資料に基づき、出願時、公報発行時、権利発生後の場面に分けて、代表的な事例の概略が説明された。

(1) 出願時 ニセ弁理士・会員制無料相談・著作権登録商法
(2) 公報発行時 コピーサービス・売り込み代行・推薦状・表彰及び助成金推薦・試作品作成
(3) 権利発生後 ブローカー行為・外国登録簿への登録勧誘・権利の取引仲介

(2)個別事案ごとの説明

それぞれの事案ごとに担当者より、具体的な事案を提示しながら説明がなされた。

(1)ニセ弁理士(長谷川芳樹副委員長)

たとえば、特許管理士、著作権士、知的所有権管理士など「○○士」の肩書きで一定の有資格者であるかのように装い、非弁理士活動を行う。従来は、特許代理を謳っていたものが、無料相談ないしは無料コンサルタントを謳うなど手口が巧妙化している。これらの者による弁理士業務の遂行は、弁理士法に違反する行為である。

(2)会員制無料相談(長谷川芳樹副委員長)

「無料ビジネス特許コンサルタント」などと称して顧客を集めている。無料のコンサルタントのみでは弁理士法に違反しない。しかしながら、無料のコンサルタントを入口として、会員登録費用や契約料などが発生したり、その後の業務において非弁理士活動につながったりしている。

(3)著作権登録商法(内藤嘉昭副委員長)

実体的には発明考案の対象となるものについても、著作権で保護するとして、著作権登録申請を顧客にさせる。著作権の保護は、著作物の完成と同時に権利発生して、著作日と客体の特定ができれば、保護されるのであるが、いかにも登録した方がいいと宣伝している。
登録費用として2000円、登録原簿の謄本として2000円〜3000円、継続料1年1000円など、比較的安価な料金であり、登録数などもきわめて多い。
しかしながら、著作権では、登録のために記載された文章や図面の表現が保護されるのみで、発明などのアイデアは全く保護されない。

(4)コピーサービス・売り込み代行(井澤委員長)

ある業者が、先行技術調査、公報代行サービス、権利侵害の監視などの業務を行っている。たとえば、公報1件のコピーに1万円といった法外な料金を請求している。その他、会費年20万円 顧問料年30万円などとなっている。

(5)推薦状・表彰および助成金の推薦・試作品作成(内藤副委員長)

科学技術庁における科学技術功労者賞など表彰制度への推薦、推奨を行うと称して、1件あたり1万円〜2万円の費用を請求している。ただし、これにより、実際に表彰された事例はない。
また、ある任意団体により、発明家表彰制度が設けられており、賞状やトロフィーの授与に1件2万円程度の費用が請求される。これは、公的団体ではなく、当該任意団体の賞状がもらえるにすぎない。
さらに、この団体は、試作品作成を請け負い、法外な費用を請求している。

(6)ブローカー行為

これについては、具体的な証拠・資料がないため、説明を省略する。

(7)外国登録簿への登録勧誘(長谷川副委員長)

欧州で登録された商標の商標権者に対して、何ら公的ではない登録簿(CD-ROM)に165500円程度の費用を支払えば、国際的な登録簿に掲載しますよ、というダイレクトメールが無作為で送られる。文面には、その掲載により国際的な著名性が得られるなどの効果が謳われている場合もある。しかし、何ら公的な裏付け(著名性確保)については保証されない。

(8)権利の取引仲介(井澤委員長)

ある企業が、権利の取引仲介を行っている。たとえば、権利譲渡の成立した場合に、譲渡料が3億円の場合、3千万程度の報酬を得ている。実施許諾の仲介などの場合にも、法外な料金を請求している。

(9)タウンページの「特許相談」、「発明相談」の欄への掲載(村上政弘副委員長)

タウンページに「特許相談」、「発明相談」の欄があるが、弁理士だけでなく、弁理士資格を有しないものによる団体などが掲載されており、被害者からの相談や実際に被害が生じたケースが増えている。掲載方法についてNTTに申し入れをする予定である。

(3)その他

(1)報道各社へのお願い(井澤委員長)

広報活動その他を通じて、これらの活動に対する対策を呼びかけているが、その効果は十分ではない。実際に被害にあった場合には、日本弁理士会ないしは各弁理士に相談するようにしてほしい。日本弁理士会に特許相談室がある。
なお、警察への告発、告訴には、2件以上の事例が必要である。被害者の特定など日本弁理 士会だけでは困難であり、また、必ずしも弁理士法に違反する行為とは限らないので、報道各社に報道を通じて国民に注意を喚起してほしい。

(2)最近の判決の紹介(長谷川副委員長)

東京地裁 平成15年(特ワ)2538号 弁理士法75条、79条、共同正犯
執行猶予付き有罪判決 9月24日 「全日本発明家協会」コンサルタント料、試作料10件ほどの特許・実用新案(報酬524万円の報酬を得て非弁理士活動)

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