本文の先頭です

記者懇談会・議事録(2004年3月)

平成15年度第8回記者懇談会議事録

日 時:平成16年3月17日(水)午後2時から3時まで
場 所:日本弁理士会地下1階第9会議室
出席者:
(記者17名)
(日本弁理士会6名)
副会長 峯 唯夫
ソフトウエア委員会 佐藤英世
広報センターセンター長 矢野裕也
広報センター副センター長 岩田 敏(司会、議事録)
総括副会長 木下實三
次期副会長 吉田芳春

 

テーマ:ビジネスモデル特許についての現状
議 事:

(1)開催の挨拶(岩田副センター長)

  

(2)佐藤英世委員からの説明

  (1)ビジネス関連発明(ビジネスモデル特許)のこれまでの経緯
  1998年米国のCAFC(連邦巡回控訴裁判所)の判決(※1)によって、ビジネスモデル特許のブームを引き起こすことになった。
      ※1 ハブ・アンド・スポーク特許について、数学的アルゴリズムを用いるビジネスモデルでも「具体的で、実体を伴っており、有用である」という3つの要件を満たしていれば特許性ありと判断された判決。
  (2)現在の国内の審査状況
  審査案件が非常に多くなっている(ブーム時に出願された案件について出願審査請求される時期になっている)。
  政府発表の「知的財産戦略大綱」によって、大幅な審査期間の短縮が要求されている。
      特許庁は、審査処理案件の増加と審査期間短縮という、極めて厳しい状況にある。
  (3)他国の審査状況
    ・米国: どちらかと言えば広く特許を認めている(例えば、ブランコの乗り方について特許を認めた例もある。← 特許として意味があるかは疑問であるが…)。
    ・欧州: 特許になるには技術的要素が必須とされ、米国と異なり広く特許を認めていない。
    ・中国: ソフトウエア関係の特許はほとんど認められない(国内のソフトウエア産業保護との関係があるのではないか)。例えば、発明の目的に、非技術的要素が入っていると特許は認められない。
  (4)新たな審査基準の検討
    今年中に、審査基準(平成12年)の改訂版が発表される予定にある。
      現行の審査基準では、特許可能な請求項と特許不可能な請求項の境目が不明確で、グレーゾーンが広すぎる。これを、ある程度明確にした審査基準が必要とされていた。
    しかし、米国のように、広く特許を認めるような改訂にはならないと思われる。
    どちらかというと、欧州のような厳しい基準になる傾向にあると思われる。

(3)峯唯夫副会長からの説明

  今年度も、能力担保研修の実施にあたって、弁護士会の協力を得られることになった。

(4)質疑応答

  (1)ビジネスモデル特許の具体的な出願件数はどうなっているのか?
  出願件数が減少しているのは確かである。しかし、明確にビジネスモデル特許に分類できるものではないので、正確な数値は発表できない。
  (2)ビジネスモデル特許の審査が厳しくなった理由は?
  確かな理由は分からない。しかし、ビジネスモデル特許は場合によっては市場を独占するほど強力な権利になる可能性がある。従って、独占禁止法との関係で、安易に特許を認めることができないのではないか。
  (3)ビジネスモデル特許のメリットは?
  特許権は、信託財産とすることができ、ベンチャー企業などにとっては資金を集める手段になる。
  大企業にとっては、ライセンス収入を得ることができる。

(5)峯唯夫副会長からの挨拶

  副会長の任期が3月までなので、広報担当の副会長として最後の記者懇談会になる旨の報告

(6)吉田芳春次期副会長(広報センター担当)からの挨拶

  4月より、広報担当の副会長に就任する旨の報告

(7)閉会の挨拶(岩田敏副センター長)

ページの先頭へ