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記者懇談会・議事録(2004年5月)

平成16年度第2回記者懇談会議事録

日 時:平成16年5月24日(月)午後1時から2時まで
場 所:弁理士会館地下1階第8会議室
出席者:
(記者9名)
  (日本弁理士会6名)
 副会長 吉田芳春 平成15年度著作権契約例文集作成ワーキンググループ  座長山田智重 飯田昭夫
 広報センター センター長 鴨田哲彰
 記者懇談会部会 大石治仁(記) 石井 豪(記)

テーマ: 「 シンポジウムにまつわる契約事例の考察」
(主として著作権法上の問題を中心として)」

議 事:以下の通り

(1)鴨田哲彰センター長より開会の挨拶

(2)吉田芳春副会長の挨拶

(3)「シンポジウムにまつわる契約事例の考察」の説明

  配布資料:「シンポジウムにまつわる契約事例の考察」
山田智重弁理士及び飯田昭夫弁理士より、日本弁理士会著作権契約例文集作成ワーキンググループによる、平成16年3月29日付けの報告書の内容の説明がなされた。
  (1) 著作権契約例文集作成の必要性
インターネット時代の到来により、著作物の利用形態が多様化し、他人の著作物を利用する場合における契約の重要性が増しており、かかる状況に応じた契約の環境インフラを整備していく必要がある。このような経緯により、著作権契約例文集を作成する運びとなった。
  (2) シンポジウムにおける契約事象
まず、第1段としてシンポジウムにおける著作物利用の契約事象を検討することとした。
シンポジウムの準備段階においては、たとえば開催告知ポスターに使用する写真を利用する上で契約が必要な場合がある。また、シンポジウムの内容を加工するにあたり講演者との間で契約を結ぶ必要もある。さらに、近年では、シンポジウムの内容をリアルタイム配信(ストリーミング配信)するような新しいケースも出現しており、この際も著作物の利用契約を考慮しなければならない。このように、シンポジウムには種々の契約の類型が含まれており、この点を整理した。
  (3) この報告書には、シンポジウムを例にとって、種々の契約書の文例が紹介されていること、具体的には、画像の利用についての承諾、記録を伴わないインターネット放送についての承諾、文章の利用についての承諾、翻訳についての承諾、トークイベントにおける文書化の承諾、録音・録画についての承諾等に関する承諾書の文例が紹介されている。
また、本契約書の文例においては、主催者とタレント事務所との間で交わされる契約については挙げられていない。専門家同士の契約が交わされるため、本契約書において挙げる文例としては不要と判断した。
  (4) 契約書の文例は、もっと複雑にすることや専門的なものにすることも出来るが、一般の人が簡便に利用出来ることを念頭において、なるべく簡単なものにしたこと、具体的には、プロの間で交わされる専門的な契約書による契約ではなく、インターネットやメールを利用した契約態様を検討。本契約書では、契約項目にそれぞれチェックボックスを設け、これらにチェックを入れることで、複数の契約項目を一括で承諾可能とするような仕様としている。
  (5) 必要であれば、この契約文例を修正して使用できること、
  (6) 現実にすでに1回使用した経験があること、
  (7) 今後は、BtoB(企業間)やCtoC(消費者間)だけでなく、個人も絡んで、契約が行われる可能性が高い。よって、この点を念頭において、契約環境の整備を図っていく必要があること、などが説明された。

(4)質疑応答

  一通りの説明の後、質疑応答がなされた。主な質疑応答の内容は、以下のとおりである。
  Q: 包括的な契約文例はありますか?
    A: 包括的なものはありません。但し、今回の契約文例を集めれば包括的なものになります。個々の契約文例としたのは、さまざまな場合を想定して、包括的でない契約を締結する場合もあることを考慮したものです。
  Q: シンポジウムなどの契約締結の中で、これまでに著作権上の争いになった事例はありますか?
    A: はい、あります。過去に出版物をめぐって裁判で争われた事例があります。
  Q: このような簡易な契約は、どの位有効なものでしょうか?
    A: 一般的な紛争予防手段としては、十分に有効だと思われます。

最後に、山田智重弁理士から「今後、どのような契約文例を作成してほしいのか、希望があれば言っていただければありがたいです。日本弁理士会で検討します。」という言葉で、記者懇談会は終了した。

以 上
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