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記者懇談会・議事録(2005年01月)

平成16年度第8回記者懇談会議事録

日 時: 2005年1月26日(火)午後1時から2時
場 所: 弁理士会・商工会館地下1階 号会議室
テーマ: 中国、東南アジアにおける模倣品問題に関する、中国や東南アジアの知財専門家との交流・情報交換などの活動について

出席者:記者19名
日本弁理士会
知的財産支援センター
  総括副会長 佐藤辰彦
  広報センター センター長 鴨田哲彰  副センター長 大石治仁

内容

(1) 開下会宣言及び懇談会の進行説明(鴨田哲彰センター長)
(2) 中国を含むアジアの最近の知財事情と弁理士の活動について
(以下、佐藤辰彦総括副会長)
*以下の点については、佐藤総括副会長の個人的な見解であり、日本弁理士会の見解ではない。
  1. 最近の中国・東南アジアの模倣品問題で注目すべき点について
    特許権等の産業財産権が消滅した周知商品についてのデッドコピーが横行している。また、全体の形状のみならず、部品のデッドコピーも行われている。そして、このような模倣品が、東南アジアをはじめとして世界中に輸出されている。
  2. 中国における法的保護の問題について
    周知の商品形態は、例え、その商品についての特許権等が消滅していたとしても、日本では不正競争防止法で保護されている。長年の企業努力により、周知の商品形態には企業の信用が化体しており、その信用は法的に保護されるべきである。これは、先進国ではグローバルスタンダードとなっている。
    しかるに、中国では特許権などが消滅したものについては、模倣は違法ではないとの認識が常識となっており、また、法的保護も不十分である。
    このような問題を放置しておくことは、長い目で見れば、中国にとっても好ましくないはずであり、昨年の国際知的財産保護フォーラムで中国側に法改正について要求をしている。また、今後も中国政府に強く改善要求を行っていくべきと考える。現在、中国は、反不当競争防止法の改正を検討中といわれており、積極的な働きかけが必要である。
(3) 日中弁理士・律師専門家交流および日中弁理士・商標代理人交流会の開催について
日中弁理士・律師専門家交流を、2005年3月4日、北京市で開催する予定である。
中国における模倣品問題は、日本企業にとって深刻である。現在、中国では、模倣品などによる侵害事件が多発している。
日本弁理士会は従来、中国の特許や商標の専門家団体と交流を行ってきた。今回は、中国の弁護士の団体である中華全国律師協会との意見交換を行い、模倣品対策強化の効果的な方策を検討していきたい。
(4) アジアIP実務者セミナーの開催について
2005年3月21日〜23日の3日間、シンガポール サンテック市で、アジアIP実務者セミナーを開催する予定である。
東南アジアでは知的財産制度の整備が進んできているが、いまだ不十分である。また、中国の模倣品は東南アジアにも流入してきているが、十分な対応ができていないのが現状である。そのような背景のもと、今回、比較的知的財産制度の整備が進んでおり、2001年に弁理士制度が確立したシンガポールにおいて、アジアIPセミナーを開催し、シンガポールの弁理士に日本の特許実務について理解を深めてもらうこととした。
(5) 質疑応答(抜粋)
  (Q1) 最近中国の最高人民法院が、反不正競争法について司法解釈案を公表したということである。その背景とそれに対する見解は?
    (A1) 背景としては、外圧(先進国からのプレッシャー)があると思う。この解釈案は、先進国に比べればまだ不十分と思う。
  (Q2) 中国で侵害訴訟が増加しているということであるが、どれくらいか?また、中国における侵害事件の最近の傾向は?
    (A2) 具体的数字は直ぐにはいえないが、しらべればわかると思う。
侵害事件の傾向は、ブランド侵害(商標権侵害)→デザイン侵害(意匠権侵害)→特許権侵害、の順に進んできており、今後は、周知形態の模倣(不正競争)の事件が増加するのではないか。
以上(文章責任:大石)
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