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記者懇談会・議事録(2008年1月)

平成19年度 第4回記者会見議事録

日 時: 平成20年1月9日(火) 13:30〜15:00
場 所: 弁理士会館 3階 第4会議室
テーマ: 「弁理士会会長の年頭挨拶と特許権の消尽」
出席者: 会長  中島 淳
広報センター長  杉村 純子
同副センター長  秦 正則
同センター委員  水本 義光

議事

1. 開会の挨拶(秦広報副センター長)
 本日のテーマの説明
  ・弁理士会会長の年頭挨拶と特許権の消尽
2. 弁理士会会長の年頭挨拶(中島弁理士会会長)
 日本弁理士会平成19年度事業活動報告「プロフェショナルの真髄を極めよう!」(配布資料)に基づき説明。説明項目は以下のとおり。
(1)日本弁理士会の活動
 ・人材育成(研修所、知財ビジネスアカデミー)→知財の総合アドバイザー(2年間で1000人を育成する)、
 ・情報管理(情報公開、会員向け情報、苦情相談受付)
 ・他士業との連携
 ・研究活動
 ・地域知財支援
(2)弁理士法改正への対応
 ・新研修制度
 ・新試験制度(より優秀な人材の確保)
 ・責任の明確化
 ・弁理士業務の拡大(特定不正競争の範囲拡大等)
 ・特許業務法人の見直し(指定社員有限責任制度)
 ・弁理士情報の公表
(3)弁理士の業務
(4)知財コンサルタント育成
 ・本来業務(特許庁への出願の代理、特許庁に対する手続き、鑑定)。
 ・本来業に関連する付帯業務(発明が生まれる段階で発掘し発明をブラッシュアップする、他社との権利を踏まえ、権利化する)。
 ・知財戦略(将来的なビジネスモデルを考え、知財ビジネスの方向性について経営判断する)には、法律と技術以外にビジネス感覚が必要である。知財コンサルタントの育成が必要。知財ビジネスアカデミー、知財コンサルティング委員会→知財ビジネスの経営判断、組織の育成。知財ビジネスアカデミーは始まってから3年半経つ。今までは特定の外部と共同で指導ガイドを作成していたが、次年度からは、第二段階となり、指導ガイドをオープンにして研修に優れた組織に対して応募を募っている(5、6社の公募がある)。大学でのコンサルタントにより新しいプログラムの開発も行っている。
(5)インターン制度について
 ・インターンシップ制度(実務経験がない弁理士は就職が難しいので、受け入れ事務所とのマッチングを弁理士会が行なう(研修期間3ヶ月)。
(6)知財支援事業
(7)地方自治体との支援協定締結の状況
 ・知財支援協定等14の道県、2つの都市(本年度は、愛媛県、長野県、静岡県富士宮市(富士宮やきそば))→地域知財の活性化 6年間で260億円の経済効果
(8)中小・ベンシャー支援活動状況
 昨年度、セミナー、相談会およびタウンミーティング500回、動員弁理士1000人を越える。今年度は500回以上で、動員弁理士1500人を越えると予想される。
(9)平成19年度知財キャラバン隊活動事例紹介
(10)知財駆け込み寺への対応
(11)農林水産省への協力
(12)中小企業向けリーフレット
 新しい製品・企画を考える段階から弁理士が参加する。ある程度ビジネスの形が決まってしまってから弁理士に相談すると、すでに似たものが存在したり、特許が既に存在したりするため、特許を取れないどころか、製品を販売できない可能性がある。
(13)弁理士法改正への対応
 7500人が5年ごとに70時間の研修を受ける。最新のEラーニングシステムの採用→予算の準備をしている。業務標準→どの事務所でも一定のレベルを保てるようにする。懲戒処分規定の明確化、弁理士情報の公開→弁理士ナビ、実務修習→弁理士会が指定機関を予定している。
(14)弁理士試験
 試験の免除
(15)日本弁護士連合会とのビジネス連携支援
 日弁連との協議
3. 質疑応答
Q)知財駆け込み寺で実際行なわれている相談は?
A)知財駆け込み寺の名前は、実態とはちょっと離れている。悪い亭主がいてかみさんが駆け込んでくるというイメージだが、そういう例は多くない。キャラバン隊で行っているように、争いごとの相談ではなくて、むしろ新しい事業に関する相談、前向きな相談が多い。警告を受けたのでどうしたらいいでしょうかといった相談は少ない。

Q)従来とは異なる広報活動は?
A)広報活動をマスコミ、テレビ、学校で行なっているが、小学生、中学生、高校生のまだ知財研究開発の卵の学生から、特許とはどういうものかという質問を受けたりする。HPも来月そのような質問を踏まえて、学生向けの質問に対してはわかりやすいHPにリニューアルする。昨年は東京、大阪、名古屋、今年は、HPのリニューアルに合わせて全国の経済産業局にポスター(弁理士は知財の専門家であるというポスター)を貼る。昨年もポスターの反響は大きかった。特許、意匠、商標とは何かを簡単に相談できるところはないだろうかといった基本的な興味の質問が増えた。広報活動の結果としては、小学生から主婦、一般の方を含めて、知財、日本弁理士会、弁理士という言葉に親しみを持っていただいていることである。各支部とタイアップして相談も増えてきている。このようないろいろな内容も含めて、2月に一般国民が見やすいような質問を含めたHPを作成する。ご指摘のありましたように、広報活動の結果いろいろな質問も増えてきましたので、それを踏まえた内容で弁理士会も皆さんに応えて行きたい。
 必ずしも企業ではなく、多くの小学校、中学校に弁理士が出前授業を行い、特許、意匠、商標をわかりやすく説明している。子どもに創作活動をおこなってもらう。基本的なことは、新しい物を作ることの重要性、他人が創作したものを真似しない、尊重するという気持ちを小さいころから持ったもらうことであり、そのような人が社会に出て、知財立国の一員として活躍してもらうことである。政府の知財立国政策は6、7年経ち弁理士の知名度も追い風をうけて上がり、弁理士の受験生も1万人を越えた。これも弁理士会の活動の成果である。企業への多くの優秀な新入社員が知的財産部を希望するようになった。

Q)学校での具体的な授業について
A)学校の先生が知財に興味を持ってきている。小学校・中学校の先生方に対して、知財に関する授業を最近行っている。これは学校の先生に知財に興味を持ってもらうためである。国際的な見地であるが、日本弁理士会の広報センターは、日本だけではなく、海外に向けて日本弁理士会についてアピールしている。アジア各国、東南アジアから知財の専門家から、世界全体の知財を向上させるためにはどのようにすればよいかというような相談を受けたり、一緒に知財を高めいくために、特に東南アジアからの訪問団があったり、こちらから訪問したりすることもある。このように活発な活動を行っている。
4. 特許権の消尽(杉村純子広報センター長)
 「リサイクル・インクカートリッジ最高裁判決」(配布資料)に基づき説明。説明項目は以下のとおり。
 日本の最高裁の判決に基づく消尽論については、海外の知財関係者からも日本弁理士会に対して質問が多くなされている。
(1)消尽論とは
  (ア)国内消尽とは
  (イ)国際消尽とは
(2)消尽論の考え方
(3)リサイクル・インクカートリッジ事件について
  (ア)被告の実施行為
  (イ)東京地裁の判断
  (ウ)知財高裁の判断
  (エ)最高裁判決
  今後、消尽は、アメリカドイツの裁判例と同様に、新たな生産かどうかということが争点となる。
(4)知財高裁判決後の裁判例
5. 閉会の挨拶(秦広報副センター長)
 
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