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記者懇談会・議事録(2008年6月)

平成20年度 第1回記者会見議事録

日 時: 平成20年6月25日(水) 13:00〜14:00
場 所: 弁理士会館・商工会館 6階G会議室
テーマ: 1.立体商標制度について
2.「弁理士の日」記念フェスティバルの概要
出席者: 日本弁理士会 
 副  会  長  福田 伸一
 広報センター センター長 高橋 英樹(司会)
 広報センター 委   員  岩田  敏
 広報センター 委   員  秦  正則
 広報センター 委   員  中嶋 武雄(議事録)

議事

1. 開会の挨拶(高橋センター長)
2. 立体商標制度について(岩田センター委員)
(1)商標登録対象についての近時の話題
   商標登録対象を音やにおいに拡張することにつき特許庁が検討に入ったとの報道あり。
(2)立体商標制度について
 ア 立体商標とは
  ・ 従来の商標が2次元であるのに対し、立体商標は3次元である。
  ・ 商標の登録件数が年間約10万件、そのうち立体商標の登録件数はこれまでに約1600件である。立体商標の登録件数は、全体と比較すればまだ少ないが、立体商標だけに着目すると、かなり多いという印象である。
  ・ 権利期間は、登録から10年間で、10年ごとに更新することができる。なお、特実意と異なり、権利の存続が半永久的であるため、行き過ぎた独占とならないように公益的ないし政策的な観点から登録の当否については厳格にならざるを得ないと考える。
 イ 立体商標の登録要件
  ・ 立体商標の登録要件は概ね次の通りである。
   @ 商品・サービスについて使用する3次元のマークであること。
   A 商品の形状(包装の形状を含む)が当該商品の一般的形状でないこと。
   B 条件Aを満たさなくても、使用の結果、その形状が識別力を獲得した場合には、登録可。
   C 条件Bを満たしても、商品(包装)の機能を確保するために不可欠な立体的形状のみからなるものは、登録不可。
 ウ 立体商標に関する裁判例
  ・ 裁判例
   @ <コカ・コーラ事件>平成19年(行ケ)第10215号 登録性あり
   A <ミニマグライト事件>平成18年(行ケ)第10555号 登録性あり
   B <ひよ子事件>平成17年(行ケ)第10673号 登録性なし
   C <角瓶事件>平成14年(行ケ)第581号 登録性なし
   D <ヤクルト事件>平成12年(行ケ)第474号 登録性なし
  ・ まとめ
   @ 機能・美感のための特徴的形状は一般的形状の範疇。
   A 実際に使用されている状態(付された文字商標との関係)が問題。
   B 特徴的形状があれば「のみからなる」には該当しない傾向。
(3)質疑応答
 ア (質問)コカ・コーラ事件、角瓶事件などで、ラベルとの関係についてはどのように考えればよいか?
   (答え)使用に係る商標中の立体的形状部分が、ラベルなどの平面商標部分とは独立して自他商品識別機能を獲得しているか否かが判断されている。
 イ (質問)過去の角瓶事件と最近のコカ・コーラ事件とを比較すると、登録性が緩和された印象であるが、このことは企業活動へどのような影響があるか?
   (答え)両事件の結果の相違は、個別的な事実の違いもあり、登録性が全般的に緩和されたと言い切ることは難しい。しかし、裁判所の判断が登録性を緩やかに認める方向に向いているとすれば、企業は立体商標の活用に積極的になるであろう。
 ウ (質問)新しい形を立体商標として登録することを推進すべきか?
   (答え)客観的にみて、商品等の機能又は美感に資することを目的とする形状に半永久的な独占権を付与することは回避せざるを得ず、それゆえ、使用による自他識別力を獲得するに至っていない新しい形が立体商標として登録を得ることは難しい。意匠制度を利用する方が現実的であると考える。
 エ その他の質問
  ・ 海外の状況に関する質問
  ・ コカ・コーラ事件に関する質問(補正後の指定商品、キャップの形状)
  ・ 角瓶事件に関する質問(識別力の判断基準)
3. 「弁理士の日」記念フェスティバルの概要(福田副会長)
  (1)「弁理士の日」記念フェスティバル
  (2)弁理士の日 記念講演会
  (3)無料特許相談会
  (4)パテント・コンテスト募集
4. 閉会の挨拶(高橋センター長)
 
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