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記者懇談会・議事録(2011年1月)

平成23年度 第7回記者会見報告書

日 時: 平成23年1月11日(火) 13:30〜14:30
場 所: 東京倶楽部ビルディング 14階14−A会議室
テーマ: 日本弁理士会会長の年頭挨拶及び先進医療研究現場の知財戦略の課題と知財支援について
出席者: 日本弁理士会(5名)(敬称略)
会長 筒井 大和
副会長 鈴木 一永
先進医療機器開発等促進事業支援プロジェクトチーム(PT)
         PT長 佐藤 辰彦
         副PT長 清水 義憲
広報センター センター長 福田 伸一 (司会)
広報センター 副センター長 高橋 英樹
広報センター 運営委員 茅野 直勝(議事録)

議事

1.開催の挨拶(福田センター長)
2.筒井会長より年頭挨拶
我国の特許出願件数の「激減」について会長から以下の発言があった。
(1)日本弁理士会としては、この「激減」の原因を一時的な景気の問題に止まらず、我国の技術開発力や知財パワー、国際競争力の低下の現れであると受け止めている。対応策として、国家の知財戦略本部による知財推進計画や、特許法改正への適切な対応、経済産業省、特許庁及びそれ以外の官庁(農林水産省、文部科学省等)施策や、国家的知財支援プロジェクトへの対応を積極的に行う。また、知的財産支援センターや地域知財活動本部の他、全国各支部とも連携をとり、各県や市等との支援協定等に基づき、地域知財活動の支援や、中小ベンチャー企業の知財支援も適切かつ十分に行う。
(2)日本弁理士会は、平成22年12月3日に開催された第1回臨時において「特許出願件数激減に対する緊急対応策を講じることに関する総会決議文」を採択した。
(3)特許出願件数激減に対する対外的な緊急対応策例として以下を挙げる。
 @実効ある特許等出願件数増加策として、審査請求料金の半額化
 A研究開発の奨励と成果の権利化をスムースにする立法・税制・予算措置を講じる働きかけ
 B知的財産教育の積極的推進への働きかけ
 C経団連などへの知的財産立国に向けた共同行動
 D出願等助成金制度を持たない市町村に対して同制度の設置の働きかけ
3.先進医療研究現場の知財戦略の課題と知財支援について
(1)佐藤PT長より、先進医療研究現場の知財戦略の課題と知財支援について、配布資料に沿った以下の説明がされた。

 現在、先端バイオ・医薬分野における特許の取り扱いは諸外国でも運用が異なっている(例えば医療行為を特許制度で保護する国としない国がある等)。また、権利取得のための情報や資金等が不足している。そのため、大学や研究機関では、研究者が知財について相談できる場所・人等が不足しており、どのような技術が発明になるのか研究者自身もわからないという問題がある。また、日本弁理士会に対して、大学発の知的財産の取得・活用に対する当会の協力が強く望まれていた。
 このような状況を踏まえ、東北大学産学連携推進本部は、東北経済産業局の委託を受け、昨年度(平成21年度)、「平成21年度東北地域の資源を活かした医療機器開発と知財戦略調査」を行った。そこで、日本弁理士会としては、「日本弁理士会東北大学TRセンター支援プロジェクトチーム」を立ち上げ、バイオライフサイエンス委員会の委員に募集を行い、応募された委員から弁理士推薦委員会が複数の弁理士を選定・推薦し、先進研究開発現場における知財支援として、東北大学TRセンターにおける任意のシーズについて、知財サーチ、パテントマップ構築及び知財戦略等の支援を行い、その過程を分析・検討を行った。
 この支援に対する評価が良かったことを受けて、本年度(平成22年度)、東北経済産業局は、個別の研究開発プロジェクトであって、今まさに動き出す・動き始めるものに対する支援に特化することで、成果の創出と積み上げに努めることとし、蟹CRを委託先として「平成22年度 地域新成長産業創出促進事業(地域競争力強化事業)」の1つとして先進医療機器分野を選定し、開発シーズ提供者と製品化に関する技術を有する企業との協同による事業推進を図ることとした。
 そこで、日本弁理士会としては、「先進医療機器開発等促進事業支援プロジェクトチーム」を立ち上げ、当該分野における知財専門家派遣依頼への推薦候補者の選定・推薦等を行い、大学等の先端研究開発現場の知的財産の取得・活用に対する日本弁理士会の知財支援を強化し、適任の弁理士又は弁理士グループを推薦し、その活動を支援することとした。
(2)清水副PT長より、東北大学TRセンター、及び京都大学におけるIPS細胞特許に関する日本弁理士会のサポート状況が説明された。

 サポート内容の代表的なものとして、@知財戦略策定、A競合動向調査の2つが挙げられ、@について弁理士に求められるものは、現場での研究者への知財知識のボトムアップであり、Aについては、世界的レベルで見た競合相手である米国の特許戦略を分析することであること。例えば、米国は日本にない独自の制度である仮出願や継続出願制度を利用して世界各国へ特許出願を行っており、日本弁理士会としては、研究者のためにこれら米国の特許技術を研究・分析を行っていることなどが説明された。
4.質疑応答
会見全体を通じて、いくつかの質疑応答がされた。
5.閉会の挨拶(福田センター長)
(配付資料)
・「新年のご挨拶」
・「特許出願件数激減に対する緊急対応策」
・「特許出願件数激減に対する緊急対応策を講じることに関する総会決議」
 上記に関連する資料(出願件数データ、五大特許庁の出願動向等)
・「先進医療研究現場の知財戦略の課題と知財支援」
 
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