輸入商社から国内トップクラスのレギュラコーヒーパックメーカーへ
レギュラーコーヒーをティーバックの手軽さで」、そんなコンセプトで発売されたモンカフェは、発売以来10年以上経った今でも、相変わらぬヒットを続けている。年を追うごとに販売数が伸び、現在では年間1億袋を越えるという。
片岡物産は、社名に示す通り元来商社であり、英国トワイニング社の総代理店になるなど、紅茶などの嗜好品に高いシェアを持つ輸入商社であった.しかし、自社商品の開発という商社の枠を越えた新たな課題に挑戦する。この背景には、年間を通して安定して売れる独自の商品が欲しいという事情もあったし、第2の柱であるインスタントコーヒーの販売を何とか伸ばしたいという気持ちもあった。
同社はインスタントコーヒーは手軽さの反面、風味や香りの点でレギュラコーヒーに劣ることが消費伸び悩みの原因である」と読んでいたから、インスタントコーヒーの手軽さでレギュラーコーヒーがいれられるようにすれば、爆発的な大ヒットになると考えた。そしてその読みは正に正しかった。
モンカフェは明らかにティーパックの発想を利用している。1杯分のコーヒーの粉末を袋に詰めて濾すようにすれば、手軽にレギュラーコーヒー楽しめるという訳だ。ただ、それだけでは本物の味は出せない。ポイントは、お湯を上から注ぐドリップ方式をコーヒーカップの上でいかに再現するかということであった。同社の研究員は、これを達成するフィルターやホルダーの構造を多く考案し、実用新案や特許を申請、取得していった。こうして、大ヒット商品、モンカフェが誕生したのである。こうしたモンカフェの成功は、メーカー志向を強める中小の商社などにとっては大変参考になるであろう。しかし、その裏には多くの地道な研究開発努力があったことを忘れてはならない。モンカフェに適したコーヒー豆の選定、フィルター素材の改良等を始めとして、パッケージ機などの生産機械を独自に開発するというハイテクメーカー顔負けのことまでしている。そして、そのような研究開発の成果について、一つ一つ周到に実用新案や特許を取得していった。その甲斐あって、発売以来、物まね品など全くなく超ヒットを続けることができたのである。
(取材協力、片岡物産(株)及び代理人中山伸治弁理士) 注)「モンカフェ」は片岡物産(株)の登録商標です。
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