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ヒット商品を支えた知的財産権 Vol.32
「ローパークリーニング」

特許第2917075号、特許第3141287号
米国特許第5607516号、商標登録第3029975号

 ほこりやチリ、タバコの煙、手垢、落書きなどで見る影もなくなったオフィスの椅子やテーブル、パーティションがピカピカによみがえる。布張りの椅子も繊維が毛羽立つことなくフワフワとなり、5年や10年前のものと思えない。

 「経年変化や物理的ないたみは回復することができませんが、汚れは全て取り去ることができます」

 (オーエイケアーシステム佐久間薫社長)とするローパークリーニング技術は米国特許を取得している什器専用のクリーニング技術。床掃除を併用させた従来のクリーニング手法とは全く違い、ウォーターダメージや繊維が剥離することもない。

 オフィスの室内をクリーニングする発想は昔からあり、米国の技術を導入したベンチャーをはじめ、乱立状態。今、この勢いが什器分野にも広がりはじめた。だが、1999年から2000年にかけて取得(登録)7年に米国特許も得ている什器クリーニング技術「ローパークリーニング」は知的所有権に守られ、他社の追随を許さない。佐久間社長が、この分野で仕事ができるとひらめいた時期はオフィスクリーニングという概念もなかった。オフィスを移るときには全てを購入することができる経済成長期でもあり、汚くなったら新品と交換した。

 家具メーカー、什器メーカーもクリーニングするよりも交換することを勧めた。さらに「クリーニングでは什器をいためるだけだ」(佐久間社長)とする技術の不備を強調した販売戦略を展開する事もしばしばであった。什器クリーニングは、こうしたメーカーの反発をかいながら、進めることも必要であった。

 佐久間社長らはクリーニングの本場である米国を飛びまわり、技術と市場を調査し市場規模が1兆円になると見込む一方で、特殊なクリーニング技術が必要と痛感した。技術があれば商売になると独自のクリーニング剤の開発を米国に依頼するとともに洗浄装置を独自に開発し特許を取得した。

 さらに洗浄のノウハウ獲得、什器クリーニングで先鞭をつけた。「人の肌が触れる什器のクリーニングは、ほかの技術で代用することはできない」(佐久間社長)と自信を深めているが、この技術の信頼を高め、激烈な競争を制しているのは知的財産権。「什器のクリーニングで特許を持っているのですか」(佐久間社長)とユーザーから驚異の目で見られ、安心を得ている。

(取材協力 オーエイケアーシステム株式会社)

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