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ヒット商品を支えた知的財産権 Vol.46
機能を一言で表現した消臭芳香剤「消臭力(リキ)」

商標登録 第4507364号 ほか

 消臭芳香剤として、初めて消臭パワーを前面に押し出して登場したのが、エステー化学株式会社の「消臭力」だった。従来商品が悪臭を別の香りで覆っていたのに対し、消臭力は、悪臭を消臭し、さらによい香りをプラスする機能を備えている。

 すでに、同社には「シャルダン」ブランドがあったが、敢えて、新しいブランドを立ち上げた。商品開発グループマネージャーの水中幹士さんは「全社が一体となって、シェア獲得に向けた商品内容の一新に取り組みました」と開発の経緯を振り返る。ターゲットとする30代、40代の女性を意識して、スタイリッシュなデザインにもこだわった。スマートな容器を実現するために、従来品より高い位置まで液を吸い上げられる吸液芯の開発が、技術面のポイントになったという。高さの違いでその他の点でも機能がまったく変わるため、シャルダンで培ったノウハウを基にしてもなお、一年余りの開発期間を要したそうだ。

 2000年にトイレ用消臭力を発売した当初から、独自技術とネーミングのインパクトによって、大きな反響があった。翌年に部屋用を出し、その後も新たな香りの追加、デザインなどのリニューアル、機能アップをしてきた消臭力シリーズは、年10〜20%の成長を続けている。現在、消臭力にはトイレ用、部屋用各10種のほか、トイレスプレー、台所スプレーがあり、同社の主力ブランドの一つとなっている。

 消費者向けに製品展開する同社の商品開発コンセプトは「聞いてわかる、見てわかる、使ってわかる」というもの。特に消臭芳香剤は競合品が多い上に、嗜好性の強い商品だ。

 「いかに消費者の目にとまるかが大事。パッと見て特徴がわからなければ負け」(水中さん)という。消臭力のネーミングは、商品特性をズバリと表したものである。

 しかしその反面、商標登録は難しかった。「ブランドを保護するため、いろいろな方法で出願し続けました」と法務グループ知的財産担当サブマネージャーの座間毅さんは語る。発売からほぼ2年を経て、デザインを含めたロゴとして登録にこぎつけた。

 「商標、意匠はブランドを守るために重要なものとして、社内でも広く認識されています。商品価値におけるウェイトも高い」(座間さん)という。消臭力シリーズでは、対抗的、防衛的措置として、リニューアルに合わせて新たな商標を登録している。

※エステー化学株式会社は2007年8月1日よりエステー株式会社に社名を変更

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