外国における産業財産権の取得
特許権などの産業財産権は、世界各国がそれぞれの法律を持っているため、日本で取得した権利は日本でのみ有効で、外国にはその効力は及びません。したがって、外国で製品を製造したり、商標を使用するためには、外国の産業財産権を取得したり、外国の産業財産権に対応する必要があります。現在、産業財産権の国際的な保護を容易にするた め、世界の160カ国以上がパリ条約を結んでいますが、特に、発明についてはさらに110カ国以上が特許協力条約(PCT)を結んでいます。また、商標については50カ国以上がマドリッド協定を結んでいます。 弁理士は、外国で産業財産権を取得する際、複雑な手続を代行します。そのため弁理士は、日頃から外国の弁理士と法律改正などの情報交換を行ったり、国際会議などで直接会って意思の疎通を図ったりするなど、常に国際的な交流を行っています。
パリ条約
特許、実用新案、意匠及び商標制度は、世界の多くの国が採用している制度であり、これらについて各国は国際的な交流と協調を図るため、1883年(明治16年)にパリ条約(パリ工業所有権保護同盟条約)を結んでいます。この条約は、加盟国の国民は他の加盟国において、その国の国民と同一の条件で発明などの保護が受けられることを目的としたもので、わが国は1899年(明治32年)に加盟、現在130カ国以上の国が加盟しています。
特許協力条約(PCT)
パリ条約上の特別の取り決めで、国際的な特許出願について定めた条約。1970年(昭和53年)公布、わが国は同年10月から施行。これにより、日本人が日本語で日本の特許庁に出願すれば、出願人が指定した国について同様に特許出願したものとして取り扱われることになりました。