商標出願業務は、依頼者における商標の使用方法を指導し管理する業務と不可分の関係にあります。
すなわち、「出願代理業務」のみを切り離して語ることはできません。商標業務は、出願から依頼者における商標の使用実態の管理まで一貫して捉えなければならないのです。
また、出願業務のみをとってみても、単に商標を紙に書いて提出するという単純なものではありません。外形的には「商標」と「指定商品・役務」が記載されているに過ぎない「商標登録願」ですが、それは弁理士としての専門的知見によって裏付けられたものです。
Q2:商標の調査はIPDLを使えば誰でもできるのではないでしょうか?
Q5:指定商品・指定役務は、自己の業務を願書に記載すればよいのではないか。どこか難しい所があるのですか?
Q1:
商標登録出願手続とはどういうものですか?
A1:
商標登録出願手続は、願書を特許庁に提出し、審査を経て、登録料を納付して権利が発生するまでの一連の手続です。審査において登録要件の不備が発見されて拒絶理由通知が出された場合に、それに対応することも出願手続の一環です。
また、出願手続の前提として、調査が商標では不可欠です。
また、出願手続の前提として、調査が商標では不可欠です。
Q2:
商標の調査はIPDLを使えば誰でもできるのではないでしょうか?
A2:
確かにIPDLでかなりの調査はできると思います。しかし、調査を行うためには基本として4つの知識が必要です。一つは、商標がどのように読まれるかを考える力。二つ目が商標を使用する商品・役務が特許庁審査基準のどこの区分・類似群に該当するかを判別する力、三つ目が「識別力」の有無を判断する力、四つ目が「類否」を判断する力です。
知的財産部のある会社で調査して類似する商標が発見されなかったとき、後に弁理士に調査をすると、類似する商標が発見される、という例も少なくありません。
商標業務は「調査」なしには語れないのです。
商標の代理人として、最も重視している点は「侵害の未然防止」。
すなわち、他人の登録商標に類似した商標を依頼者が使用しないことです。
もしこれを放置すれば、依頼者は「商標権侵害」を犯すこととなり、多大な損害を負うおそれがあるからです。
商標は大手企業では自社出願する場合が多いが、調査は弁理士が関与する例が多いようです。その結果、極めて高い登録率となっています。
知的財産部のある会社で調査して類似する商標が発見されなかったとき、後に弁理士に調査をすると、類似する商標が発見される、という例も少なくありません。
商標業務は「調査」なしには語れないのです。
商標の代理人として、最も重視している点は「侵害の未然防止」。
すなわち、他人の登録商標に類似した商標を依頼者が使用しないことです。
もしこれを放置すれば、依頼者は「商標権侵害」を犯すこととなり、多大な損害を負うおそれがあるからです。
商標は大手企業では自社出願する場合が多いが、調査は弁理士が関与する例が多いようです。その結果、極めて高い登録率となっています。
Q3:
商標の読み方など、何故そんなに難しいのですか?
A3:
例えば次のような例があります。
例1)有楽 → ユウラク、ウラク
例2)POPEYE → ポパイ、POP EYE→ポップアイ
例3)GREEN FOCUS → フォーカス
(GREENには識別力がないので「フォーカス」とも読まれる)
例1)有楽 → ユウラク、ウラク
例2)POPEYE → ポパイ、POP EYE→ポップアイ
例3)GREEN FOCUS → フォーカス
(GREENには識別力がないので「フォーカス」とも読まれる)
Q4:
識別力の判断とは
A4:
識別力の判断とは、商標がその商標を使用する商品・役務の普通名称や内容を表示する言葉であるか否かを判断することです。
これについては誤解されている面が多い。
これについては誤解されている面が多い。
(1)辞書に載っている言葉は登録できない。誰でも自由に使用できる。
→辞書に載っている言葉であっても、商標を使用する商品・役務の普通名称や内容を説明する言葉でなければ登録されます。
例えば「バス」は商品「自動車」や「輸送サービス」では登録されませんが、それ以外では登録されます。
例えば「バス」は商品「自動車」や「輸送サービス」では登録されませんが、それ以外では登録されます。
(2)みんなが使っている言葉は誰でも使用できる。
「みんな」とは?誰かが権利を持っていて、特定のグループに使用を許諾している場合もあります。 そのとき、グループ以外の者が使用すれば商標権侵害になる可能性があります。
「みんな」とは?誰かが権利を持っていて、特定のグループに使用を許諾している場合もあります。 そのとき、グループ以外の者が使用すれば商標権侵害になる可能性があります。
Q5:
指定商品・指定役務は、自己の業務を願書に記載すればよいのではないか。どこか難しい所があるのですか?
A5:
依頼者が行おうとする業務の把握、商標法の本質の理解を必要とする専門性の高い作業です。
具体例を挙げて説明します。
具体例を挙げて説明します。
・依頼者が「牛丼店」の場合
「店内飲食」だけなのか、「テイクアウト」や「通信販売」をするのか、更には「フランチャイズ展開」もするのか。それによって、出願の内容が変わります。
店内飲食だけならば、願書に「第43類、牛丼の提供」と記載すれば足ります。
しかし、テイクアウトもやるならば、これでは足りない。「第30類、牛丼」も必要です。更に、フランチャイズをやるならば35類も取得した方がよいでしょう。
これらを確保しなければ、将来の事業展開の支障となるおそれがあります。
「店内飲食」だけなのか、「テイクアウト」や「通信販売」をするのか、更には「フランチャイズ展開」もするのか。それによって、出願の内容が変わります。
店内飲食だけならば、願書に「第43類、牛丼の提供」と記載すれば足ります。
しかし、テイクアウトもやるならば、これでは足りない。「第30類、牛丼」も必要です。更に、フランチャイズをやるならば35類も取得した方がよいでしょう。
これらを確保しなければ、将来の事業展開の支障となるおそれがあります。
・依頼者が「人材派遣業者」の場合
「人材派遣」という指定は認められません。何をする人を派遣するのか、個別に指定する必要があります。
似たものがある、と「第35類、職業のあっせん」と指定すると、依頼者の業務はカバーできません。
「人材派遣」という指定は認められません。何をする人を派遣するのか、個別に指定する必要があります。
似たものがある、と「第35類、職業のあっせん」と指定すると、依頼者の業務はカバーできません。
・プリペイドカードの名称
プリペイドカードの名称を「カード」を指定商品として登録しても全く意味がありません。バスカードであれば「バスによる輸送」という役務についての商標となります。商標法の本質を理解していないと大きな誤りを犯すことになるのです。
プリペイドカードの名称を「カード」を指定商品として登録しても全く意味がありません。バスカードであれば「バスによる輸送」という役務についての商標となります。商標法の本質を理解していないと大きな誤りを犯すことになるのです。
・指定を誤った場合
「人材派遣」に対して「第35類、職業のあっせん」と指定して出願した後、依頼者の要求と齟齬があることに気づいても、補正(訂正)することはできません。
出願のやり直し以外に手段はありません。
「人材派遣」に対して「第35類、職業のあっせん」と指定して出願した後、依頼者の要求と齟齬があることに気づいても、補正(訂正)することはできません。
出願のやり直し以外に手段はありません。