会長あいさつ・意見・声明
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令和7年度 会長就任のご挨拶
それぞれの弁理士道を極めよう!尖(とが)れ、弁理士!
弁理士の多様な活躍に光を当てよう
日本弁理士会会長 北村 修一郎
第1 はじめに
日本は、他の主要国に比較して、企業資産に占める知的財産や無形資産の割合が低く、研究開発投資が伸び悩んでいるため、経済停滞が続いています。この現状からいち早く脱却して日本経済の再活性化を図るためには、企業の知的財産・無形資産の価値を向上させる必要があります。そのために知的財産を創出した者に経済的利益を保証する知的財産制度が、今以上に幅広く活用されるようにすることが急務です。
知的財産の専門家である弁理士は、企業の知的財産・無形資産の価値が向上するように導くべく、知的財産制度がより広い範囲で利用されるように、新たな視点から見出された業務にチャレンジするべきです。このチャレンジによって弁理士の付加価値が企業に認められ、相応の対価が弁理士にもたらされる環境を構築することができ、知的財産業界に優秀な人材を引き込むことができます。
初年度である本年度の活動として、前年度までに築かれた礎のもとその政策を継承しつつ、知的財産を活用した企業の挑戦の支援、弁理士の存在感の向上及び弁理士の活躍の支援を通じて日本経済の再活性化を目指す施策を進めていきます。
以下に、施策の内容を説明させて頂きます。一部、見出しのみで内容をご理解頂けそうなところは、見出しのみとさせて頂きます。
第2 施策の概要
このような考え方に基づき、①企業挑戦の支援、②弁理士の存在感の向上、③弁理士の活躍の支援の各目的に応じた事業施策を通じて、日本経済の再活性化を目指します。
1.重点事業施策
上記①~③の目的に関して重要施策となる重点事業施策を行います。各分野で活躍する弁理士のロールモデルの提示や、知財経営支援ネットワークの強化などを行います。また、2025大阪・関西万博の共創パートナーとしての日本弁理士会の取り組みについても適切に進めます。
2.事業施策
①企業挑戦の支援、②弁理士の存在感の向上、③弁理士の活躍の支援との各目的に応じた事業施策を行います。具体例として知的財産の経済的価値向上のための検討、標準化や農水知財活性化のための施策、事務手続のデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進や事業の棚卸し制度等の施策を行います。
第3 具体的施策
1.重点施策
(1)ロールモデルの発表
専権業務を含む種々の業務において活躍する弁理士を参考に様々なロールモデルを紹介します。社会に貢献し高い報酬を得る弁理士を例に、若手弁理士や弁理士志望者、企業に弁理士の価値を伝え、魅力を向上させます。またロールモデルの業務遂行に必要なスキルを会員に伝承します。その結果、業務範囲の拡大や収入の増加及び優秀な人材の獲得を目指します。
それぞれのモデルについて、会員に情報発信し、研修でこの新たな業務遂行に必要なスキルを共有します。また、優秀な人材が知的財産業界に加わってくれるよう、また、企業に新たな弁理士業務を認知して貰えるよう、外部にも積極的に情報発信します。
(2)知財経営支援の強化
特許庁、INPIT及び日本商工会議所に、さらに中小企業庁が加わった「知財経営支援ネットワーク」で、日本弁理士会としての活躍の場を強化します。
「知財経営支援ネットワーク」に係る事業において、弁理士のより積極的な関わり方について特許庁に提言するとともに、中小企業やスタートアップ企業に成果を実感してもらう支援を強化するために、知財経営支援に関与できる弁理士の能力を担保する施策(例えば、座学、ワークショップ、OJT等の研修)を強化します。
(3)2025大阪・関西万博への対応
2025大阪・関西万博の共創パートナーとして、子供たちに技術発展への関心を喚起し、知的財産の重要性を広めることで、若い世代の参加を促進して将来のイノベーションを担う人材の育成を目指し、弁理士の存在感の向上を図ります。
2.事業施策
1.企業挑戦の支援のための事業施策(目的①)
(1)知的財産の経済的価値・企業価値を向上するための検討
知的財産の経済的価値の諸外国との対比等を調査し、我が国において知的財産の経済的価値、企業価値向上のために広報活動を行う施策を検討します。企業価値を高める知的財産・無形資産への投資を判かりやすくし、企業の経済活動の活性化を後押しします。
(2)生成AI時代に適応した弁理士業務の検討
日々進化する生成AIに弁理士が対応できるよう、AIツールを利活用するための研究を継続して行いながら、今後の見通し等を情報発信するとともに、研修を行います。
(3)標準化に関する取組強化
「標準化戦略人材」および「規格開発・交渉人材」として弁理士が活躍できるように、標準化に関する研究を継続して行い、研修を通して弁理士の育成を図ります。
(4)農水関連の業務の活性化
知的財産の専門家である弁理士が農水知財へ積極的に関与し、弁理士が農林水産業を活性化させるのに適した環境作りのための調査検討を継続するとともに、活躍の場を増やすべく農林水産省との連携も強化します。
(5)コンテンツ知財保護の検討
コンテンツ産業の知財分野で、情報収集や知的財産制度の保護の活用検討を行うとともに、コンテンツビジネスやその知財保護に関与できる弁理士の育成を目指します。
2.弁理士の存在感の向上のための事業施策(目的②)
(1)弁理士法改正への対応
弁理士が、知的財産の専門家としての役割を果たすため、幅広く知的財産制度を活用して企業活動を支援するに際し、円滑な業務の遂行に支障をきたさない環境を整備します。
(2)日本から海外への情報発信等
日本の知的財産制度の魅力を発信する活動を継続し、また、 模倣品対策・水際対策についての広報活動も行います。
(3)弁理士及び日本弁理士会の活動を周知するための広報戦略
弁理士及び日本弁理士会の活動を周知する施策の検討を行います。
(4)弁理士紹介制度の拡充
(5)弁理士ナビの改修の継続
(6)知財創造教育の強化
大学における知財創造教育の強化、小中学校、高校、高専における知財創造教育、パテントコンテスト・デザインパテントコンテスト等の強化などを行います。
3.弁理士の活躍の支援のための事業施策(目的③)
(1)特許庁その他の関係省庁及び関係団体等との連携
(ア)特許庁と日本弁理士会との連携の強化
ロールモデルの公表、2025大阪・関西万博におけるイベントの実施、新たな活動(知的財産の高揚普及、研究、教育等)を特許庁と協力して行います。
(イ)経済産業局等と地域会との協力体制の強化
各地方の経済産業局等との協力体制を継続します。各経済産業局等の予算編成期に合わせて知財関連事業の提案などを行うことで、次年度の協力事業とその予算を確保していただき、地域会の事業として、金融機関との連携を図りつつ、中小企業・スタートアップの支援事業を展開します。
(ウ)各種関係団体との協力関係の構築
執行役員会が中心となって、裁判所、経済産業省、INPIT、知財協、WIPO、経団連、農水省、AIPPI、FICPI、JETRO等の各種関係団体との会合を行い、連携を強化します。ロールモデルの公表・周知に加えて、新たな活動(知的財産の高揚普及、研究、教育等)を協力して行います。
(2)事業の棚卸し制度の継続
PDCAサイクルを回して、事業見直しを行い易くする手法をブラッシュアップしていきます。
(3)DE&Iの推進
弁理士会および所属組織において尊重され、能力を発揮できる環境づくりの構築を目指します。関係機関と連携し、多様な属性やバックグラウンドを持つ人材を知財業界へ呼び込み、知財の専門家として活躍できる環境を醸成する施策を検討します。
(4)知財・無形資産を活用し、自社の成長に結び付ける組織内弁理士の育成
(5)特許事務所のDXによる業務効率化
特許事務所におけるDXの支援を検討します。特に、事務手続のDXを推進する事業を積極的に実行し、クライアント毎のデータ入力作業を効率化する施策を検討します。
(6)日本弁理士会事務局の業務のDX
(7)弁理士の収入・報酬体系の調査検討
弁理士の業務に対する適正な報酬を確保するため、昨年度実施した報酬に係る実態調査に基づき、業務量(業務ステップ)や業務の難易度に対応した報酬の定め方等の提案を行うことを検討します。
(8)弁理士の倫理観の向上
弁理士法の職責条項を全うするため弁理士の職業倫理観だけでなく一般的倫理観の向上に努め、人材の育成・強化を図ります。
第4 むすび
以上の事業を進めていきます。知的財産制度をフル活用して経済を活性化していくためには、年月がかかりますが、弁理士制度が真に世のために価値のあることをしっかり情報発信します。また、激動する外部環境に弁理士が対応していけるよう、研修等も充実させていきます。
これまでの日本弁理士会でもずっと取り組んできたことですが、より効果的な手法を試行錯誤しながら見つけ出していきたいと思います。
弁理士制度をより輝くものとしていくためには、数多くの弁理士の皆様のご協力が不可欠です。ご支援ご協力賜りますようお願い申し上げます。