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第10回 「発明」と「特許権」との関係は? どのような発明が特許権を取れるのでしょうか?
出演 弁理士:鈴木一晃先生 進行:富山幸代
発明は技術的なアイデア、特許権は発明を権利化したものを指します。
特許は産業の発達に寄与することを目的としていますので、それを達成できる発明に対して、特許権という独占権を与えます。難しく聞こえるかもしれませんが、世の中の技術を少しでも進歩させることができれば、該当します。
ラジオトーク
富山 日本弁理士会プレゼンツ「こちら知的財産相談室」の時間です。みなさん、こんにちは。進行役の富山幸代です。この番組は、普段あまり聞きなれない「弁理士」という仕事について紹介しながら、知的財産にまつわる事柄を相談できる人が身近にいるといかに心強いか、これを弁理士の方への相談を通して理解を深めていく番組です。今週の番組の回答者は、日本弁理士会広報センターの鈴木一晃さんです。
鈴木 こんにちは日本弁理士会広報センターの鈴木一晃です。
富山 鈴木さんこんにちは、どうぞよろしくお願いします。
鈴木 よろしくお願いします。
富山 さっそくですが鈴木さん、この機会にぜひお聞きしたいことがあります。数日前ですが友人にこの番組のことを話したところ素朴な疑問を投げかけられました。
鈴木 なんですか?
富山 言われてみて正直はっきりとしたことは知らないなと思いました。「発明特許権」といいますか、どのようなものを「発明」といい、どのような発明が「特許権」を取れるのでしょうか?
鈴木 そうですね。まず「発明」と「特許権」について簡単にご説明しましょう。
富山 はい、お願いします。
鈴木 まず「発明」は技術的なアイデアのことを意味します。「特許権」は発明を権利化したものを言います。この特許権を取得するためには、考えた発明が特許法という法律で定められている要件を満たしている必要があります。少し難しい話になりますが、特許は産業の発達に寄与することを目的としていますので、それを達成できるような発明に対して特許権という独占権を与えます。従って産業の発達に寄与しないような発明は特許権を取得することはできません。
富山 産業の発達に寄与するというと難しく聞こえますが?
鈴木 要するに今までに無いようなアイデアを考えることによって、世の中に何か貢献したかどうかということです。
富山 貢献といいますと、すごい事をしないといけないような気がします。
鈴木 そう聞こえますけれども、実は世の中の技術を少しでも進歩させるようなアイデアであれば該当する可能性があります。技術を進歩させるためには、当然今までにない新しいアイデアであり、簡単には思いつかないアイデアである必要があります。特許の用語ではこれらを「新規性」「進歩性」といいます。特許権を取得するためには考えた発明が「新規性」「進歩性」を満たしている必要があります。なお特許権を取得する場合には実際に物を作っているとか販売している必要はありません。
富山 なるほど。私たちが思う発明とはずいぶん違いますね。何かこう大がかりな物や世間をあっといわすようなものが発明のような気がしていました。産業と密接に結びついているんですね。という事は、私たちは特許権を持つ発明品に囲まれて生きているということになりますね。
鈴木 本当にそうですね。身のまわりは発明品だらけなんですよ。例えば身近なところでは、缶詰等に用いられているプルトップ缶などがあります。プルトップ缶は缶切りがなくても缶を開けられるとともに、開けた時にふたで指を切らないような構造になっています。プルトップ缶の技術は現在多くの缶詰製品に利用されているんですよ。
富山 なるほど。
鈴木 また、なかなか分かりにくいかもしれませんが、例えばテレビや車なども数百から数千の特許権によって保護されています。テレビや車などは数多くの部品によって構成されていますが、それらの部品等は性能向上や生産性向上のために日々様々な改良が行われていて、それらのアイデアについて特許権が取得されているのですよ。
富山 それは驚きですね。
鈴木 「もしひょっとしてこれは?」と疑問に思ったら、私ども日本弁理士会にすぐにご相談ください。日本弁理士会には無料の相談室がありますので、まずはこちらを活用ください。詳しくは日本弁理士会ホームへージをご覧ください。
富山 鈴木さんありがとうございました。また次回もよろしくお願いします。
鈴木 ありがとうございました。
富山 なお、今日のこの番組は番組ホームページでいつでも聞くことが出来ます。「弁理士 ラジオ」で検索して下さい。こちら知的財産相談室、この番組は日本弁理士会の提供でお送りしました。また次回をお楽しみに。お相手は富山幸代でした。