研究成果
RESEARCH
インフォメーションデザインの保護のあり方について 平成13年度意匠委員会(掲載日:2002年9月)
平成13年度意匠委員会
[2002/09/09掲載]
わが国において“意匠”として保護する対象は、コンピュータの筐体や操作盤などのいわゆる“インダストリアルデザイン”(工業デザイン)である。 そして、これまでインダストリアルデザインに係るデザイナーは主として“物質的”な世界を対象として創作活動を行ってきた。
一方、IT 化の進展に歩調を合わせるように画面上の操作キーとなるアイコンをデザインすることや、その操作ボタンをクリックすればまさにコンピュータから快い音楽を 聴くことができるCDプレーヤーなどの機器の形を画面上表現するなど、デザインの対象における“非物質的”な世界の比重が高まっている。
そこで、このようなデザインの対象の広がりに直面して、上記のような非物質的な世界で使用されるデザインを「インフォメーションデザイン」という概念でとらえ、その保護のあり方についての検討し、今後の議論の布石とすべく纏めたのが本稿である。
<目 次>
(1)はじめに
(1-1)「インフォメーションデザイン」とは?
(1-2)Unphysical なプロダクトデザインの具体例
(2)Unphysical なプロダクトデザインの特質
(3)Unphysical なプロダクトデザインの多様性
(4)保護すべき本質の分析
(5)現行法の枠組みによる保護の限界
(6)国際的動向への視点
(7)新たな保護の枠組みの必要性と制度設計試案
(8)今後のunphysical なプロダクトデザイン保護の在り方について
(8-1)序
(8-2)一体何を目的としてunphysical なプロダクトデザインを保護するのか
(1)理想としての創作の保護と実質としての投下資本の回収が目的なのか
(2)文化の発展に貢献するからか、産業の発展に貢献するからなのか?
(8-3)Unphysical なプロダクトデザインが内包する価値
(1)unphysical なプロダクトデザインの実用性とスタイリング
【「用」の発生】
【「美」の発生】
【unphysical なプロダクトデザインの需要惹起能力】
(2)unphysical なプロダクトデザインのためのSui generis (特別法)デザイン法の必要性
(8-4)具体的にどのような保護制度が適切なのか具体的な制度試案
(1)検討を要する事柄
【権利の性質をどうするか】
【相対的権利を発生させるとした場合、無方式主義か方式登録主義か】
【絶対的権利を発生させるとした場合、審査主義か無審査主義か】
(2)個々の制度モデルについての検討
・「無方式」の限界
・「審査主義」の限界
・「寄託制度」の提案