商標権の効力は、指定商品(または指定役務)と登録商標とのセット
登録商標の使用でも指定商品・指定役務と非類似の範囲の商品・役務についての使用の場合には、差止め不可
健康ブームに乗って、順調に業績を伸ばしているZ社。そこの橋本社長は、人間工学に基づいた設計を施した画期的なランニングシューズを開発し、斬新なイメージのネーミングを考え、プロモーション活動に予算をかけて展開しました。
そのランニングシユーズは爆発的にヒットしたのですが、その後に事業展開し、急成長しているスポーツジムのネーミングが、Z社のランニングシューズとそっくりだったのです。橋本社長は顧問弁理士に、「そのスポーツジムに、商標の使用を中止するように警告したい」と相談したところ、以下のようなアドバイスが返ってきました。
「商標権者は、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有すると共に、他人によるその類似範囲の使用を排除することができます。すなわち、同一・類似の指定商品・指定役務について登録商標またはこれに類似する商標を使用する者に対しては、侵害行為の差し止めや損害賠償等を請求できます。
逆に、他人に登録商標を使用されても、指定商品・指定役務が非類似の範囲の商品・役務についての使用の場合には、差止めすることはできないのです。
残念ながら、スポーツジムに対するネーミングの使用は、御社の商標権とは非類似範囲での使用となりますので、警告はできません。」