ソックリ商品は許せない!
ところが最後は自社側に損害賠償責任が…
家電メーカーのJ社は、業界でも一目置かれる存在です。最近は、加熱水蒸気オーブンレンジの開発に成功し、売上げを伸ばしてきました。
ところがJ社の新製品にそっくりな機能を搭載した類似品が、市場に出回っていることが判明しました。
そこでJ社の千葉社長は、自社の会員宛にDMで「弊社の特許を侵害する某社の模倣品を購入しないで下さい」と明記し、発送したのです。
ところが、専門家による調査の結果、実際には特許を侵害するものではなかったのです。しかも、その会社から文書配布に対する損害賠償の訴訟提起を受けてしまったのです。
千葉社長は知り合いの弁理士さんに、今回の件を相談しました。
その時のアドバイスの概要は、以下の通りです。
「特許権の侵害が想定された場合、まずすべきことは相手方の侵害物件の入手です。次に、特許権の侵害を確認する必要があります。このときには、弁理士に侵害鑑定を依頼したり、特許庁の判定制度を利用したりして、侵害の有無の確認をとることができます。一方、侵害の有無の確認もせず、確たる証拠もない状態で相手方以外の第三者に、相手方があたかも特許権侵害をしているかのようなことを告知することについてはおすすめできません。
その理由は、もし特許侵害ではなかった場合には、競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為に当たり、損害賠償のリスクがあるからです。特許権の技術的範囲に属するかどうかの判断は、微妙なケースもあるのです。模倣が疑われる場合には、まずは、弁理士等の専門家に相談することが必要です。」