特許権を維持するためには、特許料の納付が必須
ライセンス契約を締結している特許権が消滅すると、損害賠償の責任が発生することも
主に業務用の食品製造機械メーカーであるW社。新規事業として、一般家庭用の焼き芋製造機について特許を取得し、他社と積極的なライセンス契約をして、一般家庭に広く売り込む戦略をとりました。
ところが特許料の納付を失念してしまったのです。当初は、特許権の消滅という損失だと考えていましたが、そのライセンス契約を締結している企業から多額の損害賠償請求をされたのです。
この件について弁理士さんに相談したところ、以下の説明がありました。
「特許権者は、特許権を維持するために特許料を支払う義務があります。特許料は一年毎に定められているので、期限管理は極めて重要です。複数年分の特許料をまとめて支払うことも可能ですので、今回のようにライセンス契約を締結している場合には、事前にライセンス契約期間分をまとめて支払うことも一つの手段です。
ライセンス契約先の企業は、設備投資した上で製品を製造し販売しています。そして、製造した製品には、特許表示を行い、価格も高額に設定しています。肝心の特許権が消滅した場合、安価な製品の市場参入を許すことになります。その結果、ブランド価値の低下や、売り上げの減少を招き、場合によっては、市場からの撤退や投資した設備を廃棄する必要が生じます。
今回は、残念ながら特許料の納付を失念した御社に落ち度がありますので、損害賠償請求には基本的に応じる必要があります。」