ニーズの高い折りたたみ介護ロボットを開発!
大量生産をしようと金融機関に相談したところ…
超高齢化社会が到来して久しい日本。高齢者の方を介護する介護士さんの人手不足は、深刻な社会問題にもなっています。今回は、そんな問題を解決するための介護ロボットを開発製造する某ベンチャー企業のお話です。
このベンチャー企業は、本体をコンパクトに折りたためて、収納がカンタンな介護用ロボットを試作しました。介護ロボット用のスペースが、使用しない時は大幅に節約できる優れた製品です。そして東京の福祉機器展示会に出品したところ、その介護用ロボットの優れた折りたたみ機能がマスコミにも取り上げられ、大きな評判になったのです。
マスコミによる宣伝効果は非常に大きく、介護関連の運営企業より問い合わせがどんどん入るようになりました。そのベンチャー企業の社長は「よし、これは事業を大きくする大チャンスだ!」と考え、折りたたみできる介護ロボットを大量生産する事業計画書を策定しました。そして資金調達のため金融機関に相談したところ、「社長、当然特許出願はお済みですよね?」とロボットの特許権の取得の有無が話題になったのです。
今まで社長はロボットの技術開発には熱心に取り組んでいましたが、その独自技術を守ることは後回しになっていたことにその時気づきました。そこで大至急ロボットの技術を保護するための特許出願を、弁理士に相談したのです。
しかし残念ながら特許出願をしようとした時期が福祉機器展示会で公知になった後だったことから、新規性を失っていることで特許性が無く、特許出願ができなくなっていたのです。
しかも福祉機器展示会に出品後1年以上経過していたので、新規性喪失の例外規定(1年以内)の救済期間も経過しており、その適用を受けた特許出願もできなくなっていたのです。特許出願の手続きをしなかったばかりに、このベンチャー企業が失った経済的損失は計り知れません。