ある日突然、特許権侵害の警告文書が!
法的に対抗しようとするも、証明文書がない!?
大阪にあるF社は、小規模なペットボトルの製造メーカーです。F社はペットボトルのコーティングバリアに関して、先進的な技術を有していました。
F社の和田社長はアイディアマンで、新しい技術をどんどん発明していました。ただ、F社は、小さな製造メーカーで文書や技術資料等の管理や保管等が徹底されていませんでした。
そしてある日、ペットボトルのコーティングバリアの特許権を侵害していると競合他社から警告がきたのです。
この技術は当社が独自開発したものだと主張したものの、それを証明できる資料を提出することができず、その技術を使用することを中止せざるを得ませんでした。
今回の事案について、知り合いの弁理士さんから受けたアドバイスのポイントは以下の通りです。
「日本の法律では、先に発明した者ではなく、先に特許出願した者が権利を取得できることになっています。
しかし、特許法79条では、出願に係る発明内容を知らないで、自分で発明して、出願の前から日本国内で事業をしたり、その準備をしていた者は、その特許権について通常実施権を有すると定められているのです。
これは、先使用権と呼ばれているものです。
つまり、先使用権が認められるためには、客観的に認識されるような形態、評価できるような事実が必要になってきます。実際、ある技術を利用した製品を販売していたのですが、その時期がかなり前であり、納入されていた企業では既に製品が更新・廃棄されており、証明できなかったケースがあります。
ましてや準備段階では、その証明は一層困難です」
今後は、他社の特許出願の内容を知らずに発明したこと、他社の特許出願の際に事業の実施又はその準備をしていることを証明できるように物的証拠を管理・保管しておくことをお薦めします。詳しくは弁理士にご相談ください。