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【海外編】ブリヂストンが中国大手のタイヤメーカーに勝訴

工業製品の模倣品問題は大きなテーマ

 

タイヤデザインの模倣品は許さない

最近の中国では知的財産制度の整備がかなり進み、意匠出願数は年間50万件を超えるまでになりました。日本から中国への意匠出願数も、年間4000件にのぼります。

その意匠権での係争が、この日本の大手タイヤメーカーブリヂストンと中国の大手タイヤメーカー三角輪胎股份有限公司(以下、三角社)の意匠権侵害訴訟です。経緯としては、2013年10月ブリヂストンが意匠権を保有するスタッドレスタイヤのトレッドパタンを使用してタイヤを製造・販売した行為は意匠権侵害に該当するとして、中国長春市中級人民法院に意匠権侵害で提訴したのです。トレッドパタンとは、タイヤが路面と直接触れる部分に刻まれている溝の模様のことです。

その結果、2015年7月ブリヂストンの主張が認められ、三角社に対して製造・販売の中止、及び損害賠償金の支払いを命じる判決が下されました。この判決に対し三角社は上訴しましたが、第二審の吉林省高級人民法院においても、2016年1月第一審判決を維持するとの判決が下されたのです。

 

ブリヂストンの主張が認められる

2016年6月、三角社はこの第二審に対し中国最高人民法院に再審請求をしましたが、2016年9月、第二審判決は妥当であり、三角社の請求を棄却するとの裁定が下されました。

中国は市場経済に移行してまだ数十年の浅い歴史しかなく、知的財産権に関する意識が高まってきているとはいえ、急速な経済発展に追いついていない側面があるのは事実です。そのため、今回のブリヂストンの事例のように対策が必要になってきます。

まず中国での模倣品・偽物対策として、自社の製品の意匠権や商標権を取得することが有効です。意匠権や商標権は特許権と比べて侵害・非侵害の判断をしやすいからです。また特許権は意匠権に比べて権利期間が長く設定されてたため、取得しておくメリットがあります。ただし、日本で取得しても、中国で再度手続きをしないと権利は認められません。先に競合企業社やパテントロールのような業態の企業が取得してしまうと、取り返したり、取り消すために膨大な時間とコスト、労力がかかってしまうので要注意です。

弁理士山田のワンポイントアドバイス

社長の皆さん!

海外で事業を展開する時、自社の製品の知財権利関係は早めに確認し、手を打ちましょう。後手に回ると、ビジネス上の大きな機会損失を生む可能性があります。

【ここがポイント!】
(1)日本企業の勝訴案件を分析把握する
(2)知的財産権は進出先の国でも取得

特に中国は、裁判所の判例トレンドがあるので、要注意です!
詳しいことは、お近くの弁理士に御相談下さい。