アウトドアブームで状況が一変
家族が楽しめるキャンプやバーベキューの製品やウェアを展開・発信する総合アウトドアブランド、「LOGOS」。「水辺5メートルから標高800メートルまで愛用されること」をブランドポリシーとし、四世紀前からマリン専門ブランドと登山専門ブランドの中間である「ファミリーアウトドア」を目指してきました。
ロゴマークのメイプルリーフには、「屋外と人を繋ぐ第一ブランドでありたい」との願いが込められています。大自然の中で、人間が共存する喜びをもっともっと楽しんでもらいたい―そんなLOGOSのコンセプトは、幅広いファンに支持されています。
そんな「株式会社ロゴスコーポレーション」は、実は1997年まで「大三商事株式会社」という社名だったのです。もともとは1920年代に船舶用の問屋として創業し、1950年代には水産業や建設業の屋外作業衣類を製造販売する会社として知られるようになりました。
転機は、1985年でした。この時合羽の技術を用いて開発されたゴムボートに「ロゴス」の商標がつけられたのです。
当初会社側としては商標「ロゴス」にあまり期待していなかったそうですが、この頃から日本でアウトドアがブーム化しました。現代でも野外で寝泊りするオートキャンプが人気ですが、1985年以降LOGOS製品の良さが口コミでも広がり、社名を「ロゴスコーポレーション」に変更するほど、大きく成長しました。
ちなみに商標の「ロゴス」が社名と勘違いされるくらいにメジャーになった後だったので、社名変更の費用はほとんどかかりませんでした。
企業経営における商標の重要さ
商標は、商品に反復使用されることで、業務上の信用力を含む顧客吸引力を獲得します。この顧客吸引力のことを、“グッドウィル”といいます。
その商標がついている商品が信頼に値する商品だった場合、それを買ったお客さんは満足します。そして、同じ商標がついた商品を買ってくれます。この反復によって、顧客吸引力(グッドウィル)が蓄積されていきます。そして、社名を変更するまで力をつけるのです。
ここで重要なポイントは、グッドウィルが蓄積されるためには商標が商標法等によって保護されている必要があるということです。もし商標が保護されていないと、グッドウィルを獲得した商標を無断で使用する事業主が現れ商品が混同し、最悪の場合それまで獲得した商標が消滅してしまう可能性もあります。
一方、商標権者は、信頼に値する商品を提供し続ける必要があります。仮に問題のある商品を販売しようものなら、グッドウィルは一瞬のうちに消え去り、業務上の信用も地に落ちてしまいます。事実、問題のある商品を販売することにより、有名ブランドのグッドウィルが消滅する事例も多数あります。
商標「ロゴス」が社名を変更させるほどの大きなグッドウィルを獲得できた裏には、商標権による保護はもちろんですが、信頼に値する商品を提供し続けたロゴスコーポレーション(大三商事)のたゆまぬ努力があったのです。
取材協力/株式会社ロゴスコーポレーション
社長の皆さん!
今回の事例では、商標権の取得が大事なポイントです。自社の製品やサービスに付された商標を継続使用することでグッドウィルの蓄積が可能になります。
このグッドウィルを第三者から守るためには、商標権の取得が欠かせないのです。
【ここがポイント!】
(1)自社で使用する商品等の商標をきちんと権利化すること
(2)商標が付された商品等を反復使用することでグッドウィルを獲得すること
(3)獲得されたグッドウィルを守るために、信頼に値する商品等を提供すること
商品のアイデアやクオリティも大事ですが、それと同時に商標を効果的・継続的に使用していくことも重要です。そういった企業努力が、大きなビジネス上のアドバンテージを獲得することにつながっていくのです。