支援活動163_Webbook
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知的財産支援活動だより2015年8月号(No.163) 21 れるか、どのようにして権利を活用することができるか等について解説していただきました。著作権の効力が及ぶ範囲が多岐にわたっており、他の法律によっても保護されている場合があるなど、著作権に馴染みが薄い一般の方々にとっても、大変参考になるお話だったと思います。 第1部の基調講演2では、キャラクタービジネスの第一線でご活躍されている株式会社ユー・エス・ジェイ法務部の北口圭介氏より、「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン®におけるキャラクターライセンス契約の実務」と題してご講演をいただきました。 本基調講演では、2014年7月に、ハリー・ポッターのテーマパーク、「The Wizarding World of Harry Potter™」がオープンし、開業以来最高の入場者数を記録するなど、今話題のユニバーサル・スタジオ・ジャパン®の最前線についてご紹介いただくと共に、テーマパークにおいて米国ユニバーサル社をはじめとする様々なコンテンツホルダーから許諾を得て使用されているライセンス財産に係る契約実務を、ライセンシーの立場から解説していただきました。特に米国ユニバーサル社等とのライセンス契約は、その隅々に至るまで契約実務のノウハウが散りばめられており、また本件報告書にも記載することができないようなオフレコの話もご披露していただいたこともあり、著作権や契約実務に携わる方々に限らず、広く一般の方にも興味深い内容だったと思います。 第2部のパネルディスカッションでは、ミニ講演1として、ライセンサーの立場から、キャラクタービジネスのライセンス契約の第一線でご活躍されている一般社団法人日本ライセンシング・ビジネス協会の谷口香織氏より、「ライセンシング・ビジネスの概要とその仕組み」と題して、全世界に20兆円とも言われる巨大市場を持つライセンシング・ビジネスの全体像を俯瞰し、どのような仕組みでこれらの取引が行われているのか等について、知的財産権との関係にも触れながら、図解を用いてわかりやすく解説しました。 また、ミニ講演2として、特に意匠、商標の分野で広くご活躍されているレクシア特許法律事務所の松井宏記会員からは、「著作権を補強する意匠と商標」と題して、キャラクターを生み出し、そのキャラクターをビジネスに使用していく際に注意すべき点、著作権の弱点を補強するための商標権や意匠権の取得などについて、意匠と商標の活用事例を交えながら、法律家の視点より解説しました。 パネルディスカッションでは、著作権分野の専門家でもある古谷国際特許事務所の松下正会員をモデレータとし、上記4名の講演者との間で「キャラクタービジネスから学ぶ著作権と知財戦略」という切り口より、キャラクターの法的保護と実務上の問題点、キャラクター保護における著作権の本質と落とし穴、著作権を補強する他の知的財産権、今後の法的保護の課題などについて活発な討論が行われました。特に近年は単なるキャラクターの保護に留まらず、キャラクターに化体した信用を保護する必要性も増大していることから著作権のみでキャラクターの法的保護を求めるには限界あること、そしてそのような著作権を補強する他の法的保護として意匠権、商標権を活用することも有用であることから、キャラクタービジネスにおける弁理士が果たすべき役割が益々増大していると共に、弁理士への期待などについても指摘されました。独自性のある創作物を保護すると同時に、それに化体した信用も保護して行かなければならないというような新しいタイプの知財戦略を考える上で、今回のパネルディスカッションは大変参考になったのではないかと思います。 講演会の部の最後に、日本弁理士会楠本高義副会長の閉会の挨拶があり、盛況のうちに本講演会を終了することができました。 本年度の講演会の部は、一般の方々にとって極めて身近に存在しながら、実は弁理士にとって実務上ほとんど携わることがない著作権を題材に採り上げて講演会を行いました。その結果、多面的な保護の必要性を示す創作物(保護対象)においても、その保護から活用までの幅広くかつ複雑な知的財産戦略を考える良い機会を提供することができたのではないかと思います。また、長時間の講演会にもかかわらず、聴講者が最後まで熱心に講演に聞き入っていただいた様子からも、本講演会の内容が、皆様に対して有意義なものとなり得たのではないかと考えます。
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