支援活動だより184_webbook
5/48

知的財産支援活動だより2017年9月号(No.184) 5  特許庁の施策の大きな柱に「中小企業支援」があります。人材面、情報面、及び資金面から数々の施策が打ち出されています。中小企業と行政とのインターフェースとして知財総合支援窓口が全国に設けられ、中小企業の経営者に対する知財全般のワンストップサービスが行われています。日本弁理士会も知財総合支援窓口の運営の一翼を担っていることはご案内の通りです。 他方、日本弁理士会も、独自にかつ長期にわたり、中小企業支援を行ってまりました。例えば、無料知的財産相談、セミナーの実施、講師の派遣及び特許出願の援助制度等です。これらは、中小企業支援事業の王道ですので、知財総合支援窓口の事業とカブるところがあることは否めません。 勿論、このような中小企業支援事業の王道は粛々と実行していくべきものですが、他方、知財総合支援窓口の事業とのすり合わせを十分に考慮する必要があります。 即ち、今までの中小企業支援事業ではカバーできていない、新たな「中小企業支援」を実行してこそ、知的財産の専門家としての弁理士の使命を果たすことになります。また、知財総合支援窓口の事業との補完関係を構築できるものと考えます。 そこで、一昨年度より、日本弁理士会では、「弁理士知財キャラバン」なる事業を行ってきました。本年度も継続して実行しています。この弁理士知財キャラバンは、発明等の相談から一歩進んで、知財経営コンサンタントスキルを持った弁理士が中小企業へ訪問し、知財経営の観点から中小企業を支援します。つまり、中小企業支援の「深堀り」を行うのが弁理士知財キャラバンです。 一方、知的財産は知ってはいるけれども、自分の事業には関係がないと考えている中小企業経営者が多数おられます。これは、日本に存在する中小企業の企業数と知財総合支援窓口を訪ねられた企業数との比較すれば明らかです。このような、知的財産に馴染みのない中小企業経営者に知的財産の価値、重要性、及び有用性等に気付いてもらうこと、このことを目指すのが知財広め隊です。つまり、中小企業支援の「掘起し」を行います。 掘り起こした中小企業経営者が知財総合支援窓口を訪問したり、ひいては弁理士知財キャラバンを利用したりしていただければ、知財広め隊のミッションコンプリートです。3.知財広め隊について 知的財産に馴染のない中小企業経営者に対して知的財産を広めるため、即ち知的財産に触れて頂くために、知財広め隊では様々な仕掛けを設けています。 第1に、セミナーを二部構成としました。第一部は講演会形式、第二部は座談会・交流会形式です。 知的財産に馴染みはなくとも昨今の報道等から事業において知的財産が有用であるとの認識はいずれの中小企業経営者もお持ちだろうと考えています。ただ、①時間を割いて参加するまでもないとか、②知りたいことがあるけれどもセミナーでそのことをズバリおしえてくれるか心配とか、などの理由により、セミナ-や相談窓口まで足を運ぶのが億劫になるのが現実ではないでしょうか。そこで、知財広め隊では、第二部において座談会や交流会を積極的に開催して、中小企業経営者から直接弁理士に質問ができるようにします。この第2部を開催してこそ、忙しい中小企業経営者のご要望に応えられるのではないかと考えています。 第2部でのディスカッションを通じて、質問をされた中小企業経営者だけではなく、参加された方々にも知財に関する何かしらの気付きが生まれることを期待します。一種のゼミのようなもとご理解ください。 第2部の座談会・交流会には会員、特に開催地の地元の弁理士の皆様に参加して頂く予定です。知的財産に馴染みのない中小企業経営者は、私達弁理士にとって日頃付き合いのない方々です。第二部の座談会・交流会においてかかる経営者と論を交わすこと、ひいては杯を交わすことは、私達弁理士にとっても大変勉強になるのではないでしょうか。 第2に、知的財産に馴染みのない中小企業経営者は、私達にとって付き合いのない方々ですので、自らセミナーを開催してもこのような人を呼び込むことは困難です。 そこで、地方自治体、商工会議所、商工会、金融機関、農業関係機関その他の機関・組織に協力を要請します。そして、その組織の力を借りて知的財産に馴染みのない中小企業経営者の集客を行います。知財広め隊の目標としましては、全47都道府県にてかかる企画を実

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

page 5

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です