支援活動だより185_webbook
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知的財産支援活動だより2017年10月号(No185) 7 0004が、10年後には、1:0009と約2倍に増加したものの、米国の1%程度に留まる ・知財譲渡・実施許諾1件あたりの収入額は、米国が550(K$)で、日本は微々たる10(K$)以下 ・日米特許損害賠償額の相違⇒米国では減少傾向にある一方、日本は近年増加傾向 ・損害賠償の認定額を比較する際には、各国法制度の相違に留意(鶴木富紀子)<Ⅱ「大学の特許価値を高めるために〜米国の権利行使事例をもとに〜」>①東北大学 木下忠会員(モデレータ) 日本の大学の知財収入が米国のそれと比較して桁違いに少ないことの原因として、①儲かる研究をしていない ②共有特許が多い ③権利行使がしづらい などが考えられますが、この中で日本と米国では、特に、③権利行使がしづらい、に関する活動が大きく異なっています。 そのため、ライセンス収入に大きな違いが出ているのではないかと考えられます。 米国では大学と言えども、権利侵害については毅然とした対応を採っています。 本セッションでは、米国の大学の権利行使事例を調査分析した結果を紹介するとともに、日本の大学が特許の価値を高めるために、特許をどのように活用していくべきか、権利行使の是非も含めて考えていきます。②「米国の電気系特許の権利行使事例」 志賀国際特許事務所 弁護士 松村啓会員 大学、大学のライセンシー、大学に付属する研究財団(特許管理会社)のそれぞれが、原告となって企業に対し侵害訴訟を提起した事例を紹介しました。―大学が原告となった事例― ・カーネギーメロン大学 V.マーベルテクノロジ「ハードディスク関連」⇒和解金額7.5億ドル ・ハーバード大学 V.グローバルファンドリーズ「半導体チップの製造方法」⇒和解 ・ボストン大学 V.アップル「ガリウム薄膜関連」⇒和解―ライセンシーが原告となった事例― ・ダイナミックス アドバンス(大学のライセンシー)V.アップル<提案> 侵害訴訟の経済分析によると、法的対応力を備えることを前提とした上で、実際に訴訟を起こさなくても、第三者の模倣を抑制することができます。特許の意義として、真似させないための抑止力、真似してもらうための交渉力など言われていますが、特許の持つ交渉力を発揮するためにも、日本の大学も法的対応力は備えていくようにしたいところです。③「ライフサイエンス特許の権利事例」 山本特許法律事務所 谷剛志会員 ・米国の医薬系大学が製薬会社に対して直接侵害訴訟を提起した事例 ミネソタ大学V.ギリアドサイエンス「C型肝炎の治療薬」⇒係争中 ・カナダの大学が企業と開発した医薬特許に基づき製薬会社に対して侵害訴訟を提起した事例 イーライ リリー(マックマスター大学)V.テバ「抗癌剤」⇒原告勝訴モデレータ 知財支援事業の説明 木下忠会員大学の価値を高めるために 演者会員
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