支援活動だより185_webbook
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8 知的財産支援活動だより2017年10月号(No.185) ・韓国の大学が米国裁判所で侵害訴訟を提起した事例 ソンギュンガン大学 V.カールツァイス「3Dカメラ」⇒係争中 カイスト大学 V.サムソン「薄膜半導体」」⇒係争中 ・米国大学が商標権でも権利行使をした事例(大学同士) ヒューストン大学 V.サウステキサス大学 ⇒係争中「サウステキサス大学がヒューストン大学に名称変更」<要注意事例> 実施例を充分記載していない出願書類、発明者から学生の名前を削除した事例、発明者である教員が転職した事例、教員との契約書に不備があった事例などがあります。 結論として、大学などは戦闘的手法として、積極的に訴訟を提起する必要はないと思いますが、交渉では企業などと対等に対応すべきで、不当なものに対しては断固提訴も辞さない構えが大切です。④「特許訴訟を提起する際の注意点」 英知国際特許事務所 岩崎孝治会員-日本の大学の現状- 米国と比べ、大学が原告となる訴訟事例は皆無に等しく、企業との共同出願であっても、大学は訴訟提訴には積極的ではありません。しかし、特許訴訟を提起するには; ・被疑侵害者の侵害を立証できるか ・権利の有効性に問題はないか ・権利行使の時期は適当か ・訴訟負担と損害賠償金とがバランスをするか ・専門家・鑑定人の意見を聞いているか などについて十分検討する必要があります。 また、提訴する場合の訴訟費用については、勝訴した場合でも、訴訟代理人に対し着手金の他に報酬を支払わねばならず、その費用は日本でも数百万円〜千数百万円かかることは稀ではなく、米国での訴訟ともなると1億円〜10億円程度かかる虞れがあるので、訴訟提起をする場合には、その覚悟が必要です。<提案> 大学は明瞭に権利主張をすべきで、手をこまねいていてはなりません。 日本の大学は、体力的に零細企業と同じなので、それらを結集する必要があります。大学としては有名でも、経済的規模としては、それでも中小企業程度でしょう。 そこで、複数の大学でグループを組んで価値のありそうな特許をそのグループで管理することを提案しています(いわゆるパテントプールなど)。 ※本セッションの最後に、モデレータが「侵害警告書を送った大学はありますか」と会場に向かって質問をしたところ、100名以上の中で手を挙げた大学関係者は2名でした。―質疑応答― Q1 大学が侵害訴訟を提起するのは大変なので、先ず特許庁に判定請求をすることを考えていますが、他にどのようなADRの方法があるでしょうか? A1 知財に関する仲裁センターがあります。 Q2 ゲノムに関連してパテントプールが形成された場合、後発はどうしても利用関係が生じてしまい不利になりますが、仕方がないのでしょうか? A2 それは仕方がないことだと思います、なるべくパテントプールのメンバーになるように努力するしかないと思います。 Q3 大学とパテントトロールはよく似ている。大学のうちどの程度がパテントトロール化するのかわかりますか。 A3 それはわかりませんが、パテントトロールは適当に他人の特許を買い集めてきて権利行使をするものですが、大学は自らの研究開発に基づいて特許を取得し、その特許を活用するものですので、両者は根本的に異なるものであると考えます。(西野 卓嗣)
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