支援活動だより186_webbook
41/56

知的財産支援活動だより2017年11月号(No.186) 41 1.日  時:平成29年10月14日(土) 14:00~16:302.場  所:TKPガーデンシティ大阪梅田3.テーマ:技術情報の漏洩といかに戦うか ~有事の対応を中心に~4.講  師:弁護士・弁理士 飯島歩5.受講生:89名6.コメント: パテントセミナー2017大阪応用編第2回は、弁護士・弁理士の飯島歩会員をお招きして、「技術情報の漏洩といかに戦うか」というテーマでご講義いただきました。雨天ではありましたが、89名もの受講者の方々にご参加いただきました。 まず、技術情報の漏洩と戦うには、不正競争防止法だけに頼っていたのでは無理であり、その証拠に、地方裁判所において、営業秘密侵害の損害賠償請求が認容された判例は、年に1件程度であるという事実を述べられました。そして、不正競争防止法には、産業財産権と異なり、物権的権利がないという点を強調されました。 次に、技術情報の漏洩に対する対応策には、権利を確保するという目的に沿った対応策と、非公知性を維持するという目的に沿った対応策があるということを述べられました。そして、権利を確保するという目的に沿った対応策には、防御型の対応策としては、①「特許出願」と、②「先使用権の確保」があり、攻撃型の対応策としては、③「特許を受ける権利の確認請求訴訟」と、④「特許権取戻請求訴訟」と、⑤「特許無効審判請求」があるということを説明されました。また、非公知性を維持するという目的に沿った対応策には、攻撃型の対応策である、⑥「不正競争防止法に基づく訴訟等の手続き」があるということを説明されました。 その後、上記の①~⑥の対応策についての説明と、事例に即したケース・スタディの解説と、技術情報漏洩に対する予防策についての説明をされました。ケース・スタディの解説では、平成27年改正後の特許法の規定に沿って、職務発明規定を、「従業者等が職務発明をしたときは、会社は、発明完成時に、当然に特許を受ける権利を取得する」という内容に改定する必要性を強調されました。また、技術情報を盗んだ相手方の特許出願(盗用出願)が先行した場合は、盗用出願の出願公開後半年以内であれば、自社の後願を権利化する方法があるが、出願公開後半年を経過すると、自社の後願を権利化する方法がなくなり、特許を受ける権利の確認請求訴訟を提起して、盗用出願を権利化するしかないという点と、相手方の出願が特許査定された後は、特許権取戻請求訴訟か、特許無効審判請求をするしか道がなくなるという点について、説明をされました。 講義終了後は、一昨年の大阪応用編の時や、昨年の神戸午後の部の時と同様に、飯島歩会員のところに質問者の長い列ができました。今回の講義は、実際の経験に基づく技術情報漏洩対応策のノウハウを盛り込んだものであり、特に企業の知財部門の方にとっては、得るものが多かったと思います。近畿支部知財普及・支援委員会 水田慎一パテントセミナー2017 大阪応用編 第2回講師:飯島歩会場の様子

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

page 41

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です