支援活動だより189_CTP
21/48
知的財産支援活動だより2018年3月号(No.189) 21 実施しました。 授業の冒頭5分ほどでは、「発明とはなんでしょう?」「特許とはなんでしょう?」といった問いかけをした後、「発明」とは課題を解決するために工夫したアイデアであること、「特許」とはそのアイデアを守るための権利(知的財産)であることを、簡単に説明しました。 その後の20分で、約1メートル間隔に置いた2つの机の間に、発明品である、なるべく頑丈な新聞紙の橋を、班毎に協力して作成してもらいました。新聞紙の使い方は各自の思うように自由に使ってもらいました。どのクラスでも、班毎に、工夫を凝らした様々な発明品の橋を作ってくれました。新聞紙の大きさを利用して多くのおもりを載せられるように作る班もあり、新聞紙を細く丸めて強度のある棒を複数つくり、机同士の間に渡した班もありました。ハサミで新聞紙を細く切ったものを互い違いに編み込んで、紙に強度を持たせた班もありました。 20分の作成時間が終了した後、班毎に、発明品について、どのよう工夫をしたのか発表してもらいました。その後に、おもり(トイレットペーパーを使用しました)を橋に載せられるだけ載せてもらい、クラス全体で10秒数えてもらえました。最も多くのおもりを載せて10秒持ちこたえた班を、クラスの優勝としました。 発表・評価の後には、まとめの授業をしました。「発明」とは、エジソン等の天才がするものばかりでなく、中学生の皆がした、新聞紙ブリッジを作るための工夫のそれぞれも立派な発明であること、身近なところに発明のタネとなる課題(不便さなど)が存在していることを説明しました。また、他の班の発明品の最終形状を見た他の班が、真似をして全く同じものを作成することは簡単であるが、勝手に真似をされたときにどのような気持ちになるか、どうしてそのような気持ちになるのか等も説明し、考えてもらいました。そしす、他人の発明品を模倣する人ばかりになったしまったら、発明に労力を費やす人がいなくなり、世の中の課題が解決せず、技術が進歩しない事態になることに気づいてもらいました。また、発明者が行った試行錯誤の労力を無駄にしないために、アイデアを守る特許制度があること、特許を取るためのお手伝いをするのが弁理士であることについても説明しました。 授業後の生徒からは、「自分が考えたことを作れてよかった」「特許は大事だと思った」「知らない職業を知ってよかった」「いつもと違う勉強ができて楽しかった」「また来てください」などのコメントをもらいました。渥美教諭からも、学校教諭ではなかなかできない授業をしてもらえてよかったとのコメントをもらいました。 素朴で素直な生徒さんばかりで、こちらも非常に有意義な体験ができました。教育機関支援機構では、これまで中学校での知財授業の機会をあまり持つことができていなかったのですが、これをきっかけに、中学校での知財授業の実施も推進していきたいです。東海支部教育機関支援機構 機構長 高田珠美
元のページ