MIYASHITA
HIROAKI
宮下 洋明
HIROAKI
経営者の参謀である。
Profile
カゴメ株式会社 イノベーション本部 イノベーション開発部 知的財産グループ 課長。特許事務所、大手電器メーカーを経て、現職。2012年弁理士登録(18312)。
弁理士になられた理由は何でしょうか?
またいつ頃、なろうと思われたのかお教え下さい
技術絡みの裁判で企業が負けるのは、技術を理解しない人が戦っているからだ。そんな思い込みの下、理系の私が目指したのは、技術及び法律の双方に通じた人材です。紆余曲折の末、現在、企業で弁理士をしています。振り返ってみると、法律と向き合う期間が長くなりましたが、その苦い経験が現在(いま)に活きています。
弁理士になって良かったことがあればお教え下さい
肩書と自信を得たことです。厳しい現実ですが、専門外の方が先ず見るのは、肩書です。その上で、企業勤務の弁理士に求められるのは、批評ではなく、判断です。例えば、「専門的見地からの選択肢は、A案、B案及びC案であり、私の考える最適解は、C案です。」というものです。自信がなければ、そのような判断は、怖くてできません。また、自信があればこそ、判断が支持され、そして、人が附いてきます。つまり、弁理士になると、仕事を進め易くなります
印象に残っているお仕事、エピソードがあればお教えて下さい
食品特許の在り方に一石を投じたことです。競合企業の食品特許を消滅させるべく、計6件の特許無効審判を請求し、その一部は、裁判でも争い、全国紙及びインターネットで、大きく取り上げられました。それと並行して、日本弁理士会発行の「パテント」誌にて、食品特許の在り方に関する考えを公表し、世論形成を試みました。結果、これらの勝負では、全勝し、「よく頑張りましたね。」と経営陣から労いの言葉を頂きました。また、私の想いでもある「業界全体の発展のため」との文字を報道で目にして、心が震えました。
今後、どのようなことに取り組んでいきたいですか?
知的財産部門を企業の頭脳にしたいです。知的財産は、企業経営の道具です。どのように知的財産を利用すれば、所属企業が優勢になるのか。その点に最も精通しているのは、知的財産部門です。であるならば、知的財産部門の潜在的な役割は、経営者の参謀です。ところが、現状、知的財産部門の多くは、その存在意義すら疑問視されています。そのような現状を少しずつではありますが、変えたいです。
弁理士とは、どのような職業だとお考えですか?
相手の想いを実現に導く水先案内人(パイロット)です。弁理士の強みは、相手の想いを言葉にすることです。想いを言語化し、それを共有することで、人が募り、想いが実現します。技術者の想いを言葉にして特許出願書類にする。事業推進者の想いを言葉にして契約書にする。弁理士が企業の組織責任者であれば、経営者の想いを言葉にして知的財産活動計画書にする。高校時代の得意科目は、現代文だよ、理系だけどね。そんな話を良く耳にする職業です。
弁理士を志す方々にメッセージをお願いします
正直に申し上げると、弁理士は、地味な存在です。しかし、これから注目される職業です。最近、新聞で頻繁に目にするのは、「知的財産」の文字です。皆様が志願して弁理士になられる頃には、「知的財産に関する専門家」(弁理士法第1条)として、弁理士の存在感が急速に高まるはずです。弁理士を志すなら、志願者の少ない現在(いま)が好機です。知的で、かつ、刺激的な知的財産の世界で、弁理士として、是非、一緒に働きましょう。