植物新品種の保護
品種登録制度の概要
(1)品種登録とは
花や農作物、果樹等の植物の新品種を育成した人が、その新品種について品種登録を受けることで、独占的な権利(育成者権)が与えられます。育成者権が発生すると、その権利者(育成者権者)は、一定期間、登録した新品種の種苗そのものや、収穫物、一定の加工品を独占的に利用でき、生産や販売を行ったり、権利を他人に譲渡したりすることもできるようになります。また他の人に、育成者権に基づいて、その品種の生産等をすることを許諾すれば、許諾料(ライセンス料)を受けとることもできます。
(2)制度の概要
品種登録できる対象植物は、農産物、林産物及び水産物の生産のために栽培される種子植物、しだ類、せんたい類(コケ類)、多細胞の藻類(ノリやコンブ等)や一定のきのこ類です。
登録を受けるためには、①区別性、②均一性、③安定性、④未譲渡性、⑤名称の適正性*といった要件を満たす必要があります。
- 区別性
- 既存品種と、重要な形質(形状・色等に関わる特性)で明確に区別できること
- 均一性
- 同一世代でその形質が十分に類似していること(播いた種子から全て同じものができること)
- 安定性
- 増殖後も形質が安定していること(何世代増殖を繰り返しても同じものができること)
- 未譲渡性
- 出願日から1年さかのぼった日より前に出願品種の種苗や収穫物を譲渡していないこと(なお外国での譲渡は4年(永年性植物は6年))
- 名称の適正性
- 品種の名称が既存の品種や登録商標と同一又は類似したものでないこと
(3)種苗法の改正
品種登録制度は「種苗法」に基づくものです。令和3年4月1日施行の改正種苗法では、育成者が意図しない国への、出願・登録品種の持ち出しを制限できるようになりました。例えば、米国へは輸出してもよいが、中国などその他の国へ品種の持ち出しは制限する、といったことが可能となります。
また同様に、国内について、育成者が意図する産地以外での収穫物生産の防止を図ることもできるようなりました。